韓国人スタッフのネームプレートでタン塩を頼んでしまった
とある焼き肉屋さんに入った時のこと。
店員さんはみんな韓国の人で、見たところ、あまり日本語が上手ではなさそう。
よく見ると、何やらそれぞれが大きな名札を胸につけています。
名札には名前だけでなく、ちょっとひとこと風な言葉も書かれています。
ボクのテーブルにオーダーを取りに来た店員さんの名札には、こう書かれていました。
「今日の私のおすすめは、たん塩です。」
これを見てボクはすかさず尋ねました。
「へーっ、たん塩おすすめなの? おいしいの?」
するとたどたどしい日本語で「すごくおいしいです。私のおすすめです。」なんて返事が返ってきました。
思わず、たん塩二皿頼んでしまいました。
そうしたら、本当においしかった。
なんだか得した気分です。
こんな名札がお客さんとのコミュニケーションを図るきっかけになったりするんですね。
ほんと、ちょっとしたことです。
でもこれで、たん塩二皿分の売上アップですからね。
結構割がいいわけですよ。
自分が食べようと思ったものじゃない料理まで注文させちゃったわけですから。
ここの名札は全部手書き。
それがまたポイントだったんでしょうね。
なんだかリアリティーがあって、しかも親しみやすい感じでしょ。
この時思いました。
「これはすごくいいぞ。いろいろ使えるじゃん。」
スタッフとお客さまとをつなぐ人間POP
お店やレストランで、「お客さまと簡単にコミュニケーションをつくり出す方法」ですよね。
簡単に、お金もかからず、効果抜群。
これで、お客さまとの関係性がつくり出せる。
あなたの店、スタッフのネームプレートに、名前しか書いていなかったとしたら、とっても、もったいないことをしているかもしれません。
実際あのネームプレートというアイテムは、意味があるのかな? そう思うことがある。
とっても読みにくい小さな字で、名前だけ書いてある。
読めないですよ。
読めないということは、あまり意味がない。
そこにお客さまとの関係性など生まれません。
もっとわかりやすく、もっと意図を持ってネームプレートを使いたいものです。
店員さんひとり一人の胸に、大きな名札つけてみる。
そこには、名前だけじゃなくて、各自好きなことが書けるようにする。
例えば、店長さんは「私はリーダーです。何かあったら私をお呼びください。」なんて書いてみる。
一見お店で一番おとなしく見える女の子なんかは「私はおとなしく見えますが、たこ焼き焼くのは上手いんです!」とか書いてみる。
それから「鹿児島出身です。」とか「映画が大好き!」なんて書いてあったりすると、そのひとことを見たお客さんと、「へ〜、鹿児島出身なんだ。」とか「あの映画見た?」なんてコミュニケーションが生まれて、会話がはずんだりしましすよね。
バイトの子って、それぞれちがうでしょ。
人と話すのが得意な子もいれば、内向的な子もいる。
でもこういう名札があれば、お客さまのほうからコミュニケーションしてくれる可能性が大きいわけですよ。
お客さんとの関係がとても作りやすくなる。
きっかけを作る、一種のメッセージボードですよ。
人間POPと言ってもいいかも。
スタッフも意識するようになる
さらにスタッフの意識も高まると思うんです。
ボクのお客さまの、北海道の観光ホテルグループ「鶴雅」では、ネームプレートに「私の笑顔輝いていますか?」と書いてあります。
そうすることで、いつもスタッフが常に笑顔を意識するようになるわけです。
ホテル業にとって接客スタッフの笑顔は、重要な商品です。
名札に書いてあって、それがお客さまの目に触れる、それだけで笑顔になり、お客さまに優しい接客ができるようになるわけです。
ネームプレートを変えてクリスマスケーキの売上が上がった
大阪の八尾市にあるケーキ屋さん「パティシエオカダ」では、ネームプレートを上手に使っています。
大きく名前がひらがなで入っていて、その下の部分が余白になっていて、毎月テーマを変え、その人個人の趣味や出身地、どういう人かがわかるようになっています。
たとえばある年の8月のネームプレートのテーマは「夏の予定」でした。
それぞれのスタッフが、それぞれの夏の予定を書いています。
「男のヘルシー料理に挑戦! 川越シェフはに負けないぞ」
「福井に帰省します」
「夏休み中、1日だけ家族と予定が合いましたので、その日はスペシャルデイにします」
そうすると、接客中にお客さまのほうから声をかけてもらえるようになるのです。
「あら、あなた福井出身なの? 私は石川の金沢なのよ」とか、「川越さんに負けないでくださいね」とか、お客さまとの距離がグッと近づくのです。
「パティシエオカダ」では、このテーマを毎月変えています。
9月は「私の大好物」、10月は「好きなスポーツ選手」などなど、コミュニケーションがとりやすいテーマにするのです。
これだけで、お客さまとの関係性がよくなりました。
関係性がよくなることで、お客さまの来店頻度が増え、購買頻度が増えました。
クリスマス時期になると、クリスマスケーキの注文も前年よりも増えたのです。
結果、多くのケーキ屋さんが、対前年比を落としている業界なのに、110%以上の成果が出ました。
それだけでなく、この名札をつけることで、スタッフ同士も仲よくなります。
だって、いつもは仕事の顔しか知らない同士です。
それが個人的な趣味や好きなこと、好きなスポーツ選手を名札で発信しているのですから、共通の話題ができたり、同じ趣味の人が見つかったり、スタッフ同士の会話が増え、笑顔の時間が多くなります。
当然ですが、店の雰囲気もよくなる。
簡単なのに、いいことばかりです。
ネームプレートを工夫して、売上アップに結びつけよう
普通店員さんの名札って、ちっちゃくて、名前だって見えにくい。
ときどき英語で書いてあったりして、まったく意味をなさない名札がありますよね。
あって無きのごとしっていう程度の役割しか持たないわけです。
それを名札を大きくすることによって、もっと別の意味をもたせる。
その店のコンセプトや、店員さんがお客さんに伝えたいことなんかを書いて、メッセージしてしまう。
名札を見たお客さんは、店や店員さんがどんな体験を提供しようとしているのかが、すぐわかってしまえるというわけです。
こんなちっちゃなアイテムが売上に貢献するなら、ものすごく手っ取り早い方法ですよね。
今まで気にもとめなかったネームプレート。
こんな小さなアイテムが、お客さまとの会話のきっかけになることも。
あなたのお店でも、ちょっとだけ変えてみよう。
藤村 正宏
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