ONとOFFを分けるな―世の中エクスマ思考になってきた

遊びのような仕事、仕事のような遊び

札幌で「エクスマ塾2015 65期」実施中。

楽しい場になっている。
仕事と遊びの境がなくなる。
遊びと仕事の境がなくなる。
そんな感じになっている。

札幌の塾の模様

札幌の塾の模様

今の時代は、ONとOFFを分けて考えないほうがいいと思う。
仕事とプライベートを分けて考えるのが難しくなっている。
クラウドやモバイルの普及で、24時間いつでも仕事できる環境があるから。

「ONとOFFを分けるな、公私混同せよ」なんていうとふざけたヤツだなって思われるかもしれないけど、そうでもないんです。
逆にそのほうが、いい仕事ができるし、質の高い仕事ができると思う。
さらに、やっていて楽しい。
そうなるんです。

カメラのキタムラ社長、浜田さんとの対談

エクスマって、大企業や大きなチェーン店でも有効です。

だって、ボクのクライアントにはパナソニックやカメラのキタムラなどの大企業もあるから。
ビジネスの流れがエクスマ思考の世の中になってきているのです。

昨日は「カメラのキタムラ」さんの浜田社長と対談しました。
全国に1000店舗近くの店舗を展開している、日本一のカメラチェーン店です。
あ、今は、世界一だった…

カメラのキタムラ 浜田社長と

カメラのキタムラ 浜田社長と

ボクはキタムラさんのコンサルを、もう12年以上やっています。
チェーンストア展開と、エクスマってなんだか相いれないようなイメージがありますよね。
エクスマって、個を出せとか、関係性が大事とか、ニーズを聞くなとか。
どちらかというとマスのシナリオではない。
だから大量生産・大量消費時代の、効率や合理性を求める、チェーンストア理論には合わない。
そう思われがちです。

でもボクはもう12年もコンサルしているわけです。

エクスマ的な考え方は、大企業だってやろうと思えばできるのです。
だって、1店舗でできることが、1000店舗だとできないなんて、意味がわからないですよね。
販促だって1店舗で5000枚の折込チラシを作って入れるのが、500万枚のチラシを入れるだけです。
反応のいいチラシを作ればいいだけ。
大企業だからって、杓子定規のアンケートを作らなければならないという法律はない。
大企業だからって、店長の個性を出したらいけないなんてこともないわけです。

キタムラは、チラシもエクスマ的に作っています。
キャッチコピーもお客さま視点。
誰に、何を伝えて、どうしてほしいか。
それをしっかりと伝えています。

アンケートもよくある「お客さまの声をお聞かせください」というような無個性なものとはちがいます。
「接客はどうでしたか?」とか「待ち時間はどうですか?」とか「店の清掃は行き届いていますか?」とかさんざん聞いて、大変満足・満足・普通・やや不満・不満とか選ばせるタイプではない。
「お客さまの幸せメッセージをお聞かせください!」というタイトルで、自由に書き込んでもらうもの。
このアンケートは、お客さまのいい声がたくさん届く。

大企業なのに個を出している

店長の個性を出した店舗ブログなどで、各々の店舗とお客さまの関係性を築く方法も構築している。
面白いのは、店長さんたちがみんな、写真やカメラが好きだということ。
自ら休みには写真を撮影しに行ったり、カメラの勉強をしたりする。
そして写真好きのおなじみさんと、とっても仲がいい。
これすごいことです。
店長さんだけじゃなく、本部社員も基本的に写真好き。

もちろん、最初から写真が好きで社員になる人ばかりではありません。
社員になると、みんなカメラや写真が好きになる社風なんです。
ある意味1000人店長さんが「公私混同」して仕事しているわけです(笑)。

だから24時間カメラのことを考えても、写真やアルバムのことを考えても、苦痛じゃない。
マニアみたいな社員は、どんどん撮影の腕を磨いたり、さまざまなガジェットにも詳しくなったりする。
夢中になってやってしまう。
仕事が苦しいとか、勉強するのが嫌とか、そんな低レベルでなくなる。
努力していても、それが努力にならない。
だって、好きなことをしている時間は努力じゃないから。

これってすごくないですか?
趣味と仕事が一致している。

ボクがよく言っている「ONとかOFFとかを分ける時代じゃない」を体現しています。
お客さまだって、カメラを買うのなら、カメラ好きの人から買いたいと思うのは当然です。
そして好きなコトは時間もかけるし、より深く探究するものです。
仕事の質も上がります。

だから、ONとOFFを分けるな、公私混同することがとっても重要になってくる。

通常の大企業は、属人性を嫌います。
個人を出すことを嫌がるということ。
でも、キタムラさんはちがう。
チェーンストア理論にエクスマの思考を取り入れて成功しているわけです。

フォトプラスのコーナー

フォトプラスのコーナー

最近では、効率を無視した「photo+」(フォトプラスって読みます)コーナーを設置している。
キタムラには写真プリントやアルバム作製を、お客さまが自分の写真データをもってきて、自分で注文するパソコンの画面のような機械があります。
以前は立ったままとか、座りにくいハイスツールのイスしかなかったのですが、それをゆったりと座って時間をかけてやってもらおうというもの。
スタッフが、使い方をマンツーマンで教えてくれたり、相談にのってくれる。
お客さまとの関係性を創り出し、滞留時間を伸ばすために設置している。
それは人々にもっと写真の素晴らしさを伝えたいという思いが根底にあるということです。
たくさんの人たちが今まで以上に、自分のオリジナルのアルバムを作ったり、自分で撮影した写真を大きくして額に入れた飾ったり、子供の成長記録を

今までのチェーンストア理論とは明らかにちがいますよね。

環境や人々の価値観の変遷で、ONとOFFがなくなる時代。
遊びのような仕事、仕事のような遊び。
これがキーワードになるんだと思う。

【シリーズ記事】
・ビジネスの流れがエクスマ思考になってきている
・ニーズを聞くな
・顧客満足を向上させてもリピーターは増えない

<これから書く予定 ↓ ↓ ↓>

・差別化するな、独自化せよ
・お客さまは神様ではない
・ロジカルシンキングするから成功しない
・緻密な計画よりも、大雑把で臨機応変な計画を
・ビジネスは戦いではない、戦略思考を捨てよう
・迷ったらどちらが儲かるかではなく、どちらが楽しいかで選ぼう
・関係性が重要

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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