「これからの時代、売れる商品はなんでしょう?」
時々、そういう質問をされることがあります。
必死になって、売れる商品を探している経営者がいます。
そういう質問があると、ボクはこう答えます。
「売れる商品は、ありません」
そもそもあなたがまだ「売れる商品はなんだろう?」と、探究していたら、これからの時代、あなたの商売が繁盛したり、成功したりする確率は、限りなくゼロに近い。
かなり危険です。
今の時代、売れる商品なんていうのは、存在しないと思ったほうがいい。
一時期ブームになった「食べるラー油」なんかも、すぐに類似品が出てみんなが売りはじめました。
あっという間に個性がなくなってしまい、すぐにブームは去り、売れなくなってしまいます。
今の時代、売れる商品を探すのではなく、商品を売れるようにする。
そういう思考のほうが成功します。
そのために重要なのは
「編集力」
なんです。
「編集」っていうのは、何かと何かを組み合わせて新しい価値をつくる、ということです。
「関連させる力」が「創造力」ってことです。
どういう情報を編集して、どういうふうに価値をつくり出すかということが、とても重要な時代なんだなと思います。
編集して売る時代、ということです。
商品にどういう意味づけをするのか?
売れる商品は何かを考えるより、自分の商品やサービスの「独自の価値」を深く考えてみることです。
そのために、編集力が重要なんです。
商品の要素を抽出してみる。
専門的な使い方ができないかを考えてみる。
商品のターゲットをせまくしてみる。
他の使い方ができないか考えてみる。
などなど、あなたの商品やサービスを深く考えて、独自の価値を付加できないかを考えてみることです。
たとえば、使えなくなったヨーロッパの鍵を売っている店があります。
鍵としての機能はまったくない。
店の奥にある机の革のシートの上に、それぞれ違う形の鍵がいっぱい並んでいます。
ただのモノとしてみらた、形だけの、用がなくなったモノです。
それが1本5000円くらいで売られています。
かなり高価格ですが、結構売れています。
機能的に使えなくなった古い鍵に、独自の価値をつけて5000円で売ろうと思ったら、たとえばおしゃれなアクセサリーとか、ちがう意味合いをつけて売らなければなりません。
この鍵にPOPがついている。
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Vintage Key
古い鍵・・・・この鍵で世界の何処かの扉が開くかもしれません。
キーホルダー・ストラップなど様々なご使用方法をお楽しみ下さい。
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羽田空港にある「南青山Shosaikan」という店です。
日経新聞の記事で紹介されています。
「搭乗前という制限された時間の中でゆとりを感じてもらいたい」と店長の斎藤あずみさん。機能性やデザインにこだわった筆記具や、ユニークな柄の名刺入れやブックマークなど、こだわりのある国内外の文具を約二千店揃えている。
中でも人気なのが、ヨーロッパから仕入れたビンテージものの鍵(五千円~一万円)だ。鍵としての機能はないが、どこかノスタルジックな形に惹かれて、キーホルダーや携帯ストラップとして求める客が後を絶たないそうだ。じっくりと買い物している間に搭乗時刻に遅れそうになる人が多いのも、「ゆとり」が店内に満ちているからだろう。」
売れている。
ボクも見ているうちに、3本買いました。(笑)
でも、この仕入れ値はたぶんかなり安いはずです。
ヨーロッパのフリーマーケットなどで、たくさん買ってきた感じです。
「世界の何処かの扉が開くかもしれません」という物語を付加することによって、その編集力で売っている。
物語性がありますよね。
商品そのものの意味を変えて、価値を創出した例です。
商品っていうのは「売れる商品」があるのではなくて、「売れる売り方」があるだけなんです。
商品の価値はひとつだけとは限らない
ボクは研修を頼まれると、よく「リンゴの研修」というのをやります。
そのへんのスーパーで売っている98円の普通のリンゴにどういう価値をつけて売るか? ということを、グループの皆で考えるんです。
どういう価値をつけるか、という研修。
例えば「アップル」という言葉に引っかけてパソコンと関係させたり、聖書のアダムとイブの話を持ってきたり、栄養価からアプローチしてダイエットにいいとか、リンゴジュース、アップルパイ……。
リンゴ一つだけでも、売り方がものすごくたくさんある。
ただ、みんなそういうことを考えるのが面倒くさいから、「青森県産リンゴ98円」として売るだけ。
どこの食品スーパーに行っても、リンゴはそういう売り方をされていますね。
でも、何かちょっと情報を付加することによって、価値が変わってくる。
「毎朝一つのリンゴは医者を遠ざける」ということを書くだけでも全然違うのにな、といつも思う。
なんでそういう売り方をしないんだろうなって思う。
編集力というのはすごく大切なのに、みんな、その思考にならない。
何かと何かを関連させて考えてみましょう。
あなたの商品を「編集」してみることです。
藤村 正宏
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