サブカルの店「遊べる本屋」が苦境
先日(2016年8月27日)「ヴィレッジ・ヴァンガードが苦境」というニュースが届きました。
一世風靡した店も、時代の変化に対応できなくなったら売れなくなるんだな。
そう実感した。
<東洋経済の記事>
ヴィレッジヴァンガード、大赤字脱却なるか
ヴィレッジヴァンガードといえば、ボクの最初の本でも紹介した、有名な「コト」を売る本屋さんです。
「遊べる本屋」
本だけでなく、それに関連した雑貨も売っていて、コトPOPが有名です。
ボクの最初の本で紹介したPOPは、ジャズの名盤、ジョン・コルトレーンのCD『バラード』のPOP。
「これをBGMにして落とせなかったら、その女性はあきらめなさい」
最初にこれを、東京の下北沢店で見たときには、震えました。
とってもセンスがいいし、面白いし、うまい。
すごい店だなって。
だから、今の苦境は残念です。
不良少年の店を優等生がやっている感じ
あれだけ話題になって、飛ぶ鳥を落とす勢いだったヴィレッジヴァンガードが、かなりの負債を抱えて大赤字。
ちょっと考えてみました。
いろいろと分析はあると思うけど、あくまでも私見です。
上場してしまったことが一番の間違いだと思う。
サブカル的個性の店なのに、多店舗展開を進め、イオンモールや様々なSCに入るようになった。
チェーン店になってしまった。
あのサブカル的な品揃えは、ただ単純にチェーン展開にするには、難しいってこと。
イオンモールや他のSCに来店する、多くの家族連れに、サブカルチャーを好む人がどれだけの割合でいるのか?
過激な品揃えは、なかなか難しくなるだろうな、ってことは容易に想像できる。
昔のヴィレヴァンのように、鼻ピアスをしているような、両腕にタトゥーを描いているようなスタッフがいられないわけです。
今は、不良少年の店を優等生が無理してやっているような感じ。
結局、尖った個性を持った他にはない店だったのに、どの店も同じ顔をした店になった。
チェーン展開をすると、個性が薄まるのは、世の中の常ですから。
簡単にいうと、安易に店を広げすぎた。
最大の魅力である、他にはない尖った個性。
そういう数字ではわからない部分を重要視しない人間が経営すると、こうなっていく。
屏風は広げれば広げる程、倒れやすくなるのに似ている。
店がコモディティ化
あとは、環境の変化についていけなかった。
話題になった頃(2000年代はじめ)は、類をみない尖った個性的な店でした。
でも、それから進化していないように思える。
同じことをやっている。
そのうち似たような店がたくさん出てきた。
ワクワクドキドキを提供する店なら、ドンキとか。
個性的な食品だったら、カルディファームとか。
フランフランだって、かなり個性的になっている。
多くの消費者にとって、他でも代替できるような、店になった。
コモディティ化してしまった。
単純に考えると、お客さまが来なくなったってこと。
どんなに売れるPOPを作っても、そもそもお客さまが来店してくれなかったら、まったく無意味だということです。
そんなの当たり前。
時代遅れになった
コトPOPやコト店舗だけでは不十分な時代になったことに気づいていなかった。
今の消費者に対応できなくなってきたんだろうなって思う。
時代遅れになってきた。
まだまだ世の中の情報が少なかった頃には、品揃えやコトPOPだけでも面白い店だった。
確かに「遊べる本屋」でした。
でも、スマホとSNSの普及で、消費者の選択肢や遊びはたくさんでてきた。
商品を探すのが簡単になったし、商品を探す前に、SNSやスマホを通じて、新しい商品や話題の商品情報が、向こうから入ってくる。
わざわざ店に行かなくても、「こういうの欲しかった〜」と言う情報がたくさんやってくる。
わざわざ遊びに行かなくても、スマホさえあれば時間はいくらでも潰せる。
そんな時代に対応していたのだろうか?
店長の個を出して、SNSでのつながりもない。
これは「つながりの経済」においては致命的なこと。
特にサブカルな個性の場合、それが顕著になる。
チェーン展開でも、各店が強烈な個性を出せるような体制、店長やスタッフの個人の魅力でつながること。
すべての店の店長がSNSを駆使してお客さまとつながること。
そういうことができたら、もっとちがう未来があったかもしれません。
まずは店長を全員取り替えるといいと思う。
Twitterのフォロワーが1万人以上いる若い人を店長にする。
そしてその店長の個性を出した店舗運営をする。
そうしたら、またあの尖った個性を取り戻せるかもしれません。
あくまでも私見です。
もう一度、あのヴィレヴァンが復活するのを、期待しています。
藤村 正宏
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