紙のメディアは究極まで減少する
先日、面白い小説を読みました。
『象の墓場』という経済小説です。
アメリカの写真業界大手『イーストマンコダック』がデジタルの波に乗れず、最終的に上場廃止になった出来事を、日本法人の社員の目で描いたフィクション。
もちろん小説の中ではコダックという社名は出てきません。
でも、明らからにコダックのことを書いたものです。
この作者、楡 周平さんは、コダックの日本法人に在籍していた人なので、上質のノンフィクションを読んでいる感じでした。
この小説を読んで、本当に今の時代変化の凄まじさを感じた。
そのスピードとインパクトの大きさ。
写真やフィルム業界の話だけじゃないって思った。
例えば印刷業界。
いずれ紙のメディアや印刷会社は、どんどん少なくなるだろうなって思った。。
すでに言われていることですが、印刷は衰退の一途をたどっている。
出版業界全体の雑誌や書籍などの発行部数や売上、読者数の減少。
そういう数字はいたるところ、さまざまな機関が発表していますよね。
実際に有名だった雑誌が廃刊したり、地方のタウン情報誌が消えていたり、新聞の定期購読数が減少したりしています。
出張先のホテルの部屋に朝入っているサービスの新聞や、飛行機のプレミアムクラスの新聞も、読まないことのほうが多い。
印刷による定期刊行物はこの世から消えてなくなるのは、目に見えている状態です。
今後、こういうメディアが消滅することがあっても、以前のように繁栄することは絶対ありえないだろうなって思う。
紙の販促物もしかりです。
チラシやダイレクトメール、ニュースレター。
そういったアナログ販促物が減っているという数字も、いたるところで目にします。
ボクのクライアントでも、5年前に比べれば、紙販促はあきらかに減っている。
エクスマ塾生の販促物を見ても、SNSの相談は大きく増えていますが、紙の販促物の相談は減っている。
もちろん原因はテクノロジーの進化、デバイス(装置)の進化、そして消費者の習慣や好みの変化。
スマホのアプリを中心とした新しいニュースメディアや、専門的な雑誌のようなブログ記事などの新興勢力がたくさん出てきている。
そして彼らはユーザーの心をしっかりと掴まえているのです。
それだけではなく、ユーザの行動の進化に適応するやり方も知っている。
メディア自身が毎日のように進化してアップデートしている。
新聞や雑誌は何十年もビジネスの基本構造を変えていない。
時代に合わなくなっている。
「新聞がなくなったらみんな困るはず」
「ローカルニュースのタウン誌は必要とされている」
「チラシがなくなるわけがない」
などという甘い考え方では、今日のビジネスモデルに対応はできないのです。
新しいテクノロジーがコンテンツをさらに細分化し日用品化しています。
印刷出版では対応不可能なほどに細分化している。
たとえばECのサイトが提供しているブログが、まるでファッション専門誌のようなおしゃれなライフスタイルを提供している。
SNSやブログが紙のニュースレター以上の効果をあげている。
今後印刷会社が繁栄する方法を、誰か教えて欲しいくらいです。
というか、もう無理ですよね。
現実を直視しよう
紙の上の印刷媒体、新聞や雑誌の読者は高齢化が進んでいます。
今はいいかもしれませんが、10年後はどうなっているのか?
甘い見通しでは乗り切れません。
スマホのアプリの会社。
個人や企業のブログがメディアになっている。
今までまったくライバルと考えていなかった異業種のデジタルに強い企業がユーザーの心をつかんでいる。
参入障壁がなくなっているのです。
印刷物に依存する企業のコスト構造は、もうすぐ維持が不可能なものになる。
チラシでも雑誌でも、パンフレットや会社案内も、コストが合わなくなるということ。
コンテンツは無料というのが一般的な常識になっています。
デジタルの特徴というのは、コストがほぼ無料になるということ。
印刷業の未来はかなり暗い。
藤村 正宏
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