日曜日だからジャズのアルバムを紹介します
若いころには、あまりにも奥深くて、その真の良さが理解できないものがある。
料理でいえば、「湯豆腐」や「パクチー」なんかがボクの場合そうだった。
あんなものどこが美味しいんだろう。
そう思っていたけど、40歳を過ぎた頃から大好きになった。
JAZZのアルバムでも、あまりにも奥深いため、その良さがわからなかったものがある。
ピアノの名手ビル・エバンスとギター名人ジム・ホールのデュオ
『アンダーカレント』
19歳予備校に行っていた時、札幌のJAZZ喫茶で最初に聞いた。
女性が湖の水面下に漂うセンセーショナルな写真のジャケット。
ジャケットのデザインはとびっきり格好いいけど演奏は・・・
名盤ということだったが、ピアノとギターだけのバラード調の演奏がつづき、ボクには退屈に思えた。
それからほとんど聴かなかった。
それから10年以上経って、また聴く機会があった。
その時の印象はまったくちがっていた。
退屈なイメージしか記憶になかったが、その時に聴いたのは、同じアルバムとは思えないほど輝いている演奏だった。
インタープレイという概念
ビル・エヴァンスは、このアルバムの前に出した『 ポートレイト・イン・ジャズ 』 や『 ワルツ・フォー・デビー 』 で、ベースのスコット・ラファロとドラムのポール・モチアンのトリオで、インタープレイというJAZZの手法を確立させた。
インタープレイというのは、すべての演奏者が表現者として等価の比重をもって演奏し、それを高めあって作品を仕上げていくというもの。
まさにアドリブの演奏で会話をしていくようなイメージ。
ビル・エヴァンスはこのアルバムを出す直前、そのインタープレイを確立した盟友のスコット・ラファロを自動車事故で亡くしている。
その喪失感や絶望の底にいた。
アルバム・タイトルの『Undercurrent(底流)』。
水の中でただよいながら、深く沈み込むような、それでいて水を通して現実を見ているような、そんな雰囲気のアルバムになっている。
一見演奏は静かなバラード調だが、ピアノとギターの静かな戦い。
まさにインタープレイの極致。
ムーディなBGMに使われるような甘いJAZZが、子供の遊びに思えるほどの迫力。
こういう演奏をいいと思えるようになる。
そういう意味では、歳をとるのも悪くない。
今はAmazonプライムミユージックでプライム会員は無料で聴ける。
いい時代になったな。
藤村 正宏
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