資本主義は行き着くところまで行く
世界の富豪トップ62人の資産が、世界人口の経済的下位の半分、36億人の資産と同じという、トンデモないデータが発表されていました。
そしてその格差が、以前よりも大きくなっているってこと。
資本家や投資家がどんどんお金持ちになって、世界の貧困問題はさらに深刻になっていく。
中産階級が加速度的に貧困層に落ちていき、富裕層はさらにお金持ちになる、格差のひろがるスピードは数年前とは比べものにならないくらい速い。
たとえば、ロボット技術が進化して、工場がオートメーション化する。
どうして資本家は工場をオートメーション化するかというと、利益が出るからですよね。
今まで5000人で回していた工場が、10人くらいの従業員で回るようになる。
すると、4990人が職を失い、経済的に困難な状況になるかもしれません。
そして、工場を稼働させている資本家はより儲かる。
そうすると、また格差が広がっていく。
テクノロジーの発達によって、富めるものはさらに富むわけです。
さらにさらに、資本を持っていると、商品やサービスを売って利益を生むより、金融テクノロジーを駆使して、お金がお金を生む「投資」のほうが、利益が出るスピートが速くなっている。
そうしたら、モノやサービスを売るより、お金を投資したほうが「利益」が速くたくさん得ることができる。
資本家と労働者の経済格差は、加速度をつけて広がっていく。
これが資本主義が行き着くところなんです。
これが素晴らしい社会なのでしょうか。
グローバルな累進課税は可能か?
「富の再配分」が世界経済の課題になっている。
『21世紀の資本』(みすず書房)で話題になったフランスの経済学者トマ・ピケティ教授が言うように、世界的所得格差を是正するためにグローバル資産課税やまた累進課税を促進すべきかもしれません。
でも、これはかなり難しいことです。
世界全体で同じ税システムにするなんていうのは、現実的ではないし、もしやったとしても抜け道ができてしまう。
企業というのは利益を最大限まで追求する存在です。
税金逃れの道を、必ず作り出す。
累進課税はデメリットもある。
モチベーションを著しく低下させること。
「ミステリーの女王」と言われた作家のアガサ・クリスティは、「税金を払うために一年一冊は書かねばならないが、それ以上書けば国税庁を太らせるだけの愚行」として執筆ペースを抑えていたそうです。
もしかすると、まだまだ傑作の作品はあったかもしれません。
こうなると、投資家や経営者の「倫理観」に頼るしかなくなるんじゃないかなって思う。
どんな企業も素晴らしい「企業理念」があります。
その「企業理念」をしっかりと全うする経営をすることに尽きる。
企業は利益を出すことも大切ですが、それ以上に大切なのは「企業理念」です。
迷ったら企業理念に戻ること。
もし利益を損なうことがあっても、企業理念を選ぶべき。
そうでなければ、社会に必要とされなくなる。
だって、企業理念が会社の「存在理由」なのですから。
よき人生とはどういうものか?
フランスでのテロや中東シリアでの問題など世界的な民族紛争は、先進国のいきすぎた資本主義による、「不平等の拡大」が、大きな原因になっているんじゃないかな。
そう思うんです。
日本でも格差が広がっているでしょ。
教育だってお金持ちの子供じゃないと、いい教育が受けられないような状況になっていく。
今こそ人々は「よき人生とはどういうものか?」ということを、真剣に考えなければならないんじゃないかな。
藤村 正宏
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