今日的な意味で「独自の価値」とは何か?

今晩、釧路での講演テーマは「独自性と関係性の磨き方」

ボクの生まれ故郷、北海道の釧路に来ています。
きょうの夜、釧路のプリンスホテルでボクの講演があります。
参加料は無料です。

もう、完全に真冬です。
コート持ってきていない・・・釧路の冬を完全にナメてた・・・

今、子供の頃から知っている、有名な老舗のお蕎麦屋「竹老園」で、スタッフと蕎麦を食べています。
緑色の蕎麦で、ボクは子供の頃から蕎麦って緑色だと思っていた。
ひさしぶりに心がホッとする蕎麦を食べました。

 

竹老園の入り口

竹老園の入り口

 

蕎麦は緑色だと思っていた

蕎麦は緑色だと思っていた

「差別化」というけどね・・・

もう何年も前から「差別化を目指すな!」っていことを発信しています。
今の時代、差別化しようとすればするほど、迷宮に陥ってしまいます。
実らぬ恋のようにね。

美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ。
ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ。

Apple社の創設者で、革命的な製品を世に送り出してきたカリスマ、スティーブ・ジョブズが言った言葉。
名言です。
そして、ビジネスの真理です。
これが「差別化」を目指しちゃいけないという事例です。

「差別化」ということは誰か競合がいるということ。
相手がいて、常に競い合うって考え方。
それが不毛な考え方なのは、言うまでもありません。

以前、経済ドキュメンタリー番組で、とある百貨店の「ボジョレーヌーボー」の販売競争のことをやっていました。
発売前日の夜に、ライバル店の価格が判明し、真夜中に、それの下をいく価格にすべて変更するという、馬鹿げたことをやっていた。
本人たちは、真剣にそれが「戦略」だと思ってやっているのですけど、見ているほうは滑稽でドタバタ喜劇を鑑賞させられている感じ。
やれやれ。
大のおとなが、何やってんのって感じです。

他社やライバル会社を意識することももちろん大切ですが、そこに集中すると、常に他社との競争に走ってしまい、お客さまが見えなくなる。
その結果、不毛な価格競争に陥り、選ばれる要因が、価格だけになってしまう。

そうなったら大変です。
利益も出ないし、働いている人のモチベーションも下がってしまいます。
そして、本来のビジネスの目的を見失ってしまうことも少なくない。
だから「差別化」という考え方ではなく、「独自化」。
あなた独自の価値を伝えましょうということです。

お客さまはたくさん似たような会社(店)があって
どこから買ってもいい
あるいはどこからも買わない
という選択肢がありながら
どうしてあなたのところで買わなければならないのか?

そういうこと。
これに答えが出せますか?
これがしっかりとお客さまに伝わらなかったら、売れない。

商品やサービスに独自の価値はない

そして今の時代、独自の価値は商品やサービスにはないと思ったほうがいい。

いい商品、こだわった商品だったら売れるか?
それは幻想。
売れません。
なぜなら、あなたの商品以外も、みんなこだわったいい商品だから。

現代の日本ほど、クオリティの素晴らしい商品にあふれている時代は、有史以来なかった。
みんないい製品です。
日本に売っている家電。
冷蔵庫も洗濯機も掃除機も4KTVも、みんな素晴らしいクオリティの高い製品です。
冷凍食品もペットボトルのお茶も100円のチョコレートも、みんなすごく質の高い商品です。
あまりにもいい製品なので、その「差」がわからなくなるくらいです。

どんなにこだわった商品だって、どんなに質のいいサービスだって、それの代わりになるのはたくさんある。
そういうこと。

今日的な意味での「独自の価値」とは何か?

今は資本主義が終わりを告げ、「つながりの経済」になってきました。
人と人がつながり、スマホで24時間365日つながり、企業と人も直接つながり、その「つながり」の中で消費が行われていく。
知り合いから買う、友達から買う、よく知っている店や会社から買う。
そういう時代です。
だから、今日的な意味での独自の価値というのは、「いかにいい人とつながっているか?」ということ。
いわゆる「関係性」です。

これからは商品やサービスの価値を高めるだけでなく、この「つながり」を創出することが、会社を繁栄させるために必要不可欠なことになるのです。

釧路で美味しいお蕎麦を食べながら思っていたことは、概ねそんなことだ。
さあ、夜の講演がんばります。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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