「体験商品」はエクスマではない
毎日のように、「モノ」を売るな!「体験」を売れ!という講演をしています。
「体験」を売れ!
というと、勘違いして、短絡的に「体験商品」を思い浮かべる人がいます。
ボクが言っている、「体験」と、「体験商品」は似ているようで、まったく違う。
恋人と知り合いくらいの差がある。
(伝わって・・・ないか?)
体験商品っていえば、たとえば、観光地の牧場とかがやっている「乗馬体験」とか、そばの名産地でやっている「そば打ち体験」とか、あるいは「陶芸体験」とか。
あるいはイルカと一緒に泳げる体験とか。
そういう「体験商品」は、あくまでも「モノ」なのです。
それで、「体験」を売っていると言うのは、浅い。浅すぎ。
そこには何の創造性も、なんの知恵も、なんのセンスもない。
本質を見詰めることが大事です。
どんなビジネスも「体験」を売っている。
あなたも「モノ」なんて売っていないのです。
それを見つけるためには、あなたのビジネスをシンプルに考えてみることです。
本質に迫ってみましょう。
自分のビジネスを抽象化して本質を見詰める
たとえば、あなたがメガネを売っているとします。
メガネを扱っている小売店を10店舗くらい経営している。
メガネ屋さんは、何を売っているか?
抽象化して、本質を考えてみましょう。
あなたの店でメガネを買うと、お客さまはどんないいことがあるか?
どんな悩みを解決するの?
どんな問題を解決するの?
そう考えてみる。
あなたのメガネ屋10店舗の社員、全員で考えてみるとします。
自分の店は、メガネを売っているのではなく、どんなコトを売っているのか?
グループに別れ、みんなでアイデアを出し、まとめていく。
一番に思いつくのは、「目がよく見えるようになる」ということです。
視力矯正です。
目がよく見えるようになると、たくさんのいいことがあります。
大好きな人の顔や姿がよりくっきりと見え、より仕合せになる。
美しい花や風景がより美しく見えるようになり、楽しさが倍増する。
本や映画、ウェブサイトがより鮮明に見え、理解度が増す。
美味しい食事がより美味しそうに見え、実際に美味しく感じられる。
などなど・・・
視力矯正以外にもありますよね。
メガネやサングラスはファッションの一部です。
メガネをかけることでよりおしゃれになるとも言える。
流行のデザイン性の高いメガネや、目立つサングラスをかけることで、よりおしゃれになる。
そうすると、アパレルのブティックと同じように、ファッションを売っているともいえます。
ほかにも、サングラスを買うお客さまは、ドライブするときに太陽光が眩しくないように使う。
釣りをするときに、水面の反射を消すために使う。
自転車に乗るときに、風が目に入らないために使う。
海水浴で紫外線をカットするために使う。
などなど、そうするとアウトドアやスポーツを支援しているとも言えます。
さらに、知的に見えるメガネを買うビジネスパーソンは、仕事ができそうに見える。
しっかりと視力矯正して、本を読むのが苦痛じゃんなくなり、ビジネスの勉強できるようになる。
だとすると、メガネ屋さんはビジネスがうまくいくお手伝いをしているかもしれない。
そんなふうに考えてみるわけです。
そうすると、本来売っているものに気づいていきます。
メガネ屋さんが提供している大切なソリューション(問題解決)「目がよく見えるようになる」という視力矯正で考えてみる。
大好きな人の姿がよりよく見えるようになったり、自然界の美しいものがより美しく見えるようになったり、美味しい料理がより美味しく感じられたり、本や映画がより理解できるようになったりすることは、どういうことを人々に提供しているのでしょう。
それはもしかすると、人々をより「元気」にしているのかもしれない。
元気にする。
そういうキーワードだとすると、「うちのメガネ店は、メガネを通じて、人々を心身ともに元気にする店」ということになる。
そう定義してみるのです。
心身ともに元気になるメガネ屋さんとは?
「元気を提供しているメガネ屋」だとすると、様々なことが変わります。
メガネだけが商品ではなくなるということ。
もちろんメガネがメインの商品です。
これで利益が出るわけです。
でも、店のコンセプトを伝える商品。
売れなくても、置いておくだけでいい商品。
そういうものが増えていくでしょう。
たとえば、元気になる本。
「この小説を読むと落ち込んでいても、すぐに元気になります」というPOPが貼ってある。
実際、小説でも自己啓発の本でも、読むだけで元気になる本ってありますよね。
そういうのを選んで売る。
映画のDVDとかも考えられるかもしれない。
元気になり、観た瞬間からやる気がわいてくるような映画。
ほかにも元気になる音楽のCD。
元気になるグッズ。
たとえばサプリメントとか食品とか、栄養ドリンクとかね。
売らなくても店の中に「店長がおすすめする元気になる本コーナー」などを作って、お客さまとコミュニケーションすることもできるかもしれません。
もちろん無料で貸し出すわけです。
そのうち「お客さまが読んで元気になった本、元気になれそうな、もう読まなくなった本をもってきてください」とかできるよになったら、すごい関係性ができてきますよね。
接客も元気になる接客は何かって考えて、変わっていくでしょう。
感じのいい笑顔でお迎えするのは当たり前になってきます。
電話の応対もそうです。
電話に出るときには「はい!いつも元気な〜メガネ店です」っていう電話のまくら言葉を使います。
店の内装やディスプレイも元気になる色使いや、メッセージ、ワクワクする店舗になる。
当然、社長や店長のブログでは、そういう発信をする。
元気になるブログです。
本の紹介、映画の紹介、飲食店の紹介、などなど「元気になる」をキーワードにさまざまな事象を紹介できます。
社長のTwitterでは、古今東西の「元気になる名言」をツイートするのはいうまでもありません。
「大丈夫!心配事の98%は取り越し苦労だから」とかね。(笑)
そうなっていくと、おもしろい店ができますよね。
まさにエクスマ的な「体験」を売る店になる。
メガネ屋だからメガネだけが商品ではないということ。
店長が元気になる映画を紹介しているブログの一記事だって商品。
Twitterの元気になる一言も商品。
お客さまに貸し出す文庫本だって商品。
お金を生み出さなくても、そういうことすべてが商品だということです。
これで、「体験商品」がエクスマではないということ、伝わりました?
ここで紹介したメガネ屋さんの例は、実際にボクの塾生さんで、メガネチェーン店を経営している社長さんが、自分の会社でやったことです。
藤村 正宏
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