ホテル五龍館の夏休みの大ヒット商品カブトムシ捕りプラン
よくボクのセミナーや書籍で紹介している、長野県白馬の「ホテル五龍館」。
リピート率が高い温泉ホテルです。
このホテルの夏の大ヒット商品に「キャンプ&カブトムシプラン」というのがあります。
2泊3日の夏休みのスペシャルプランなのですが、これは毎年大人気です。
2泊のうちの1泊がテント。
食事はBBQ。
でも、面倒臭いことは、すべて、ホテルがやってくれるというもの。
テントを張るのも、食材の用意も、BBQの器具の準備も、後片付けも、朝ごはんまでテントにもってきてくれる。
テントに寝るのが嫌だったら、五龍館のスキー用のしっかりとしたホテルに泊まれる。
そしてこのプランのメインイベントは、カブトムシ捕り。
五龍館の所有している森に、朝早く行って、そこでカブトムシ捕りをするわけです。
もちろん、スタッフが森にオスとメスのカブトムシを放しておくんですけどね。
これはとてもよろこばれるイベントなのですが、最初の頃はたくさん問題が起きてしまった。
まず大きな問題。
それは、カブトムシって、オスのほうが人気がありますよね。
オスばかりが捕られてしまうわけです。
オスのカブトムシを何体ももっていかれてしまうんです。
さらに悪いことに、カブトムシっていうのは、寿命が短い。
幼虫時代を含めても、だいたい12カ月から15カ月ぐらいです。
成虫になってからだと2週間から1カ月くらい。
だからカブトムシを家にもって帰っても、すぐに死んでしまうこともあるわけです。
そうするとクレームが出る。
「うちの子がせっかく捕ったカブトムシが死んでしまった、どうしてくれるんだ!」
「カブトムシが死んで、子供が泣いている、責任をとれ!」
などなど、むちゃくちゃなクレームを言ってくる親もいた。
あらかじめ情報を伝えることでクレームはなくなる
そこで女将さんの中村ゆかりさんは考えた。
カブトムシ捕りに出発する前に、子供たちと親たちをホテルのロビーに集めて、紙芝居を見せることにしたのです。
カブトムシの捕まえ方
オスとメスの一対で捕まえること
そうしなければ子供が生まれないこと
卵を産んだら、カブトムシは死んでしまうこと
幼虫の育て方
などなどを、楽しい「カブトムシ紙芝居」で、子供たちに伝えたのです。
そうすると、みんなオスとメスの一対を捕るようになりました。
カブトムシが死んでも、クレームはまったく来なくなった。
それどころか、夏休みが終わって家に持って帰ったカブトムシの卵が孵化して、幼虫がたくさん生まれると、たくさんの感謝のお便りや写真、子供たちが描いた絵などが届くようになりました。
カブトムシ捕りツアーに参加させていただき、持ち帰ったカブトムシが卵を産み、先日立派なカブトムシが土の中から出てきました‼︎ オス4匹 メス3匹。子供が1年間、大切に育てていたので大よろこびです。カブトムシの育て方、幼虫の観察と親子共々大変勉強になりました。子供が絵を描いて送るというので送付させていっただきます。つたない絵ですが見てやってください。
こんなお母さんのお手紙と一緒に、一生懸命描いたお子さんのカブトムシのクレヨン画が送られてきたりします。
去年の夏にそちらでお世話になった⚪︎⚪︎です。その時のカブトムシ捕りでとったカブトムシは1週間で死んでしまいましたが、子供が元気に育っています。(7匹)。写真を送ります。今年は長男が受験なのでそちらに行けそうもありませんが、合格した暁には、またお世話になりたいと思いますので宜しくお願いします
この手紙には幼虫の写真がついていました。
中には、カブトムシの幼虫を白馬の森に返しにに行きたいっていう子供たちが出てきた。
翌年、また宿泊にきてくれる。
小学校を卒業するまで、毎年カブトムシプランに来てくれる子供たちもたくさん。
あらかじめ情報を伝えておくことで、クレームがなくなる。
さらに、情報がその価値を高めて、たくさんのありがとうを生んだ。
情報を楽しく伝えることで、ただの「宿泊商品」が「夏休みの忘れ得ぬ思い出」という体験になったのです。
「情報」を楽しく、たくさん、伝えることで、あなたの商品やサービスの価値は高まります。
この事例を、あなたのビジネスにどう応用できるかを考えてみましょう。
藤村 正宏
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