個性がないことが一番の問題
現代のマーケティングの最大の問題は、個性がないということだと思う。
今の時代、店も会社も製品も急激にコモディティ化している。
その差がよくわからない。
個性が伝わらないから、選ぶ理由がわからない。
企業にとっては、売れない、利益が出ない、そういう状況になっています。
たとえば、あなたが60インチの4KTVが欲しくて、ヤマダ電機とかビッグカメラとかの家電量販店に行ったとします。
売場では3台の60インチの4KTVが並んでいた。
それぞれSONYとSharpと東芝の製品。
でも製品のロゴが隠されている。
その3種類の製品を見て、あなたは「これが東芝で、これがSONYで、これがSharpだな」ってわかるか?
わかる人はほとんどいないはずです。
ということは、みんな同じ製品ということ。
そうすると、多くの消費者は価格で選ぶわけです。
もしもその3社の製品が、各々他にない個性をもっていたら、選ぶほうも自分の好みで選べますよね。
他に比べて圧倒的に音がいいとか、デザインがカスタマイズできるとか、転倒防止の防災対策がカンタンにできるとか。
売れているモノに追従するから、個性がなくなる。
リスクをとらずに、同じような製品を作っていればなんとかなる。
そういう思考が見え隠れするのです。
結果的に、競合するものとちがう製品が売れるはずなのに、似た製品が世の中に溢れてしまう。
コモディティ化が進行している今の時代は業界から「逸脱」することが価値になる。
業界の異端になる覚悟をもつことが大事です。
「逸脱」する思考をもつために参考になる文学作品
逸脱するためには、いつも「他とはちがう」という思考をもっていることが大事です。
常に、個性的ということを意識すること。
他とはちがう思考。
他とはちがう発信。
他とはちがう行動。
これがとっても大事です。
そのために参考になると思う、文学作品を5作品紹介します。
ビジネス書や実用書ではありません。
小説やエッセイです。
逸脱する思考を持つには、サブカルチャーに触れることが大事だと思うから。
「オン・ザ・ロード」ジャック・ケルアック:著
1957年アメリカの小説。
アメリカ大陸をひたすら移動しつづける小説。
20世紀半ばのビート・ジェネレーションと呼ばれる「サブカルチャー」の代表作。
大学生だった頃読んで「自由になりたい!」と心から思った小説。
間違いなく文学史上に残る傑作です。
「ギンズバーグ詩集」アレン・ギンズバーグ:著
ケルアックとともに、ビート・ジェネレーションをけん引した詩人、ギンズバーグ。
この詩集に掲載されている「吠える」という詩は、心に突き刺さります。
わけがわからない部分がたくさんあるけど、今読んでも新鮮。
現状に取り込まれそうになる精神を、かろうじて独立させる苦悩や、それによる幻想。
異端の言葉のチカラを感じる。
「太陽の季節」石原慎太郎:著
御存じ東京都知事だった石原慎太郎さんのデビュー作。
この小説は当時(1952年発表)の社会にものすごく影響を与えた。
「太陽族」という反体制の若者たちを生み出し、社会問題になった。
戦後、価値観が激変した社会に順応できない若い世代に、圧倒的な支持を受けた挑発的な小説。
今読んでもすごいエネルギーがある。
「ゴドーを待ちながら」サミュエル・ベケット:著
これは間違いなく演劇史上に残る傑作。
ふたりの男がひたすら「ゴドー」と呼ばれる男を待つという戯曲。
「不条理演劇」の元祖。
ゴドーとは一体何者なのか?
ひたすら待つという行為の中に救いはあるのか?
待っていても来ないものを待つことに、何の意味があるのか?
この戯曲を面白い演劇にするためには、かなりの技量がいる。
いつもそう思うのです。
だって今まで優秀な演出家や有名俳優が上演した芝居も、学生劇団がやった芝居も、たくさん見たけど、面白ものがない。
これを面白く演出できたら、すごいな。
そう思う。
でも、傑作だと思う。
「アウトサイダーの幸福論」ロバート・ハリス:著
これは前4作に比較すると、新しい本です。
2015年2月に出たばかり。
ロバート・ハリスは、日本生まれのラジオナビゲーターであり作家。
前出のカウンターカルチャー(対抗文化)「ビート・ジェネレーション」の末裔。
常にアウトサイダーとして生きてきた彼の人生哲学が書かれています。
どうせ一度の人生なんだから、
ポジティブシンキング、無理に上げない、あるがままに。
「自分探し」はゴミ箱へ。
などなど、面白いエッセイになっています。
毒が可能性を大きく広げる
以上5作品を紹介してきましたが、ボクが面白いと思っているだけで、あなたにとってはまったくクズのようなものかもしれません。
だから面白くなくても責任とりませんからね(笑)。
でも、主流ではない思考。
人とはちがう自由。
常識ではない価値観。
そういうものに触れることは大切なことだと思う。
通常とちがう世界はとっても「毒」があり、刺激的です。
ビジネスに「毒」が必要なのかもしれない。
最近よくそう思う。
毒がいい作用をして、ビジネスや人生を楽しいものする。
でも、その毒が悪いほうに働くこともある。
そう考えると、エクスマはまちがいなくある種の「毒」なのだと思う。
でも、その毒に触れてみることは経験してみることは大切。
人生も仕事も「毒」のようなものによって、大きく可能性が拡がったりするのだから。
藤村 正宏
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