まだインターネットもない時代、
営業関連の研修やビジネス書でよくいわれていたことがあります。
「商品を売るな!自分を売れ!」ということです。
簡単にいうと、お客さまから好かれ、共感を獲得し、最終的には「あなたが勧めるから買う」「あなただからお願いするわ」といってもらえる営業スタイルのことです。
たとえば、昔、地方の保険営業マンが地域の顔役のような存在だった話があります。
彼は保険商品そのものの説明をする前に、お客さま一人ひとりの悩みや暮らしぶりを徹底的に聞き、地域のイベントにも積極的に参加しました。結果として、「あの人なら安心して任せられる」と信頼を集め、売上を伸ばしたのです。
このように、お客さまが「商品」ではなく「人」に惹かれることが最強の営業につながる、という考え方が広く支持されていたのです。
そして現代、SNSの時代になり、その傾向はさらに強くなっています。
インターネットとSNSの普及によって、私たちは多くの人やモノと簡単につながれるようになりました。たとえば、Instagramで発信するカフェのオーナーが、自分の日常やこだわりを発信することで、お店のファンを増やしているケースがあります。彼らは「美味しいコーヒー」だけを売るのではなく、自分自身のストーリーや価値観を伝え、それに共感する人たちが集まるようになるのです。
また、YouTubeで自動車のレビュー動画を配信している個人が、正直な意見やライフスタイルを交えて発信することで、「あの人が勧めるならこの車を買いたい」と思わせる存在になっています。どこで買うかではなく、誰から買うかの時代を象徴する例です。
昔のように、マスメディアで大々的に広告を打ち、新規のお客さまを獲得するだけの時代は終わりを迎えました。SNSとスマートフォンの普及で、世の中の消費行動が大転換したのです。たとえば、地元のパン屋さんがSNSで毎日の焼きたてパンの写真を投稿し、「今日はこのパンを焼きました!」と発信することで、近隣の人たちから注目を集めることがあります。その結果、わざわざ車で遠くから訪れるお客さまが増えるという事例もあります。
今や、店頭にいい商品を並べているだけでは、来店してもらうことすら難しい時代です。たとえば、観光地の土産物店でも、「売れるPOP」をどれだけ工夫しても、お客さまがいなければ意味がありません。SNSで発信し、商品の背景やエピソードを伝えることで、初めてリアルの来店につながるのです。最近では、ある伝統工芸品の店主が、自分の手作業の様子を動画で投稿し、「この技術で作られたものを買いたい」と全国から注文が集まるようになった事例もあります。
SNSの世界がリアルの消費に影響を与え、私たちの買い方やつながり方が変化しています。SNSで個人が情報を発信し、それを見た人が共感して購買につながる時代です。経営者や個人事業主だけでなく、会社員であっても「個」のブランドが価値を持つ時代になっています。たとえば、営業職の会社員が、自分の趣味や価値観をSNSで発信し続けた結果、仕事に役立つ人脈が自然と広がり、新たな仕事の機会を得たという話もあります。
今の時代、お客さまは会社につくのではなく、人につきます。
だからこそ、発信してみることが大切です。最初はうまくいかなくても、ともかくやってみること。「ダメだったら変えればいいんだから」という気持ちで、小さな一歩を踏み出しましょう。
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藤村 正宏

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