お客さまを「囲い込む」時代は終わった
ある中小企業の経営者がこんなことを話してくれました。
「新規顧客を増やしたくて、無料プレゼントを用意して、メールアドレスを集めることをやったんですけど、思ったように成果が出なかったんです。それどころか、『何か売り込まれるのでは?』と警戒されているようで、かえってお客さまとの距離が開いた気がします。」
こうしたことって、あるあるだと思いませんか?
「お客さまを囲い込む」という言葉が一時代を築きましたが、現代ではその発想自体が時代遅れになりつつあります。
囲い込みから「関係性」への転換が鍵
では、なぜ「囲い込み」が通用しなくなったのでしょうか?
理由はシンプルです。
現代のお客さまは、企業の意図を敏感に察知する力を持っているのです。
例えば、「無料小冊子プレゼント!」といったオファーを見て、すぐに「これはメールアドレスを集めて、その後に営業される流れだな」と勘づく人は少なくありません。
さらに、その小冊子が「まだその車を買うな!」や「あなたの保険、損していませんか?」といった煽り系のタイトルなら、逆効果になる可能性が高いです。
今のお客さまは、こうした手法に引っかかるほど単純ではありません。
では、どうすればお客さまと強い関係を築けるのでしょうか?
答えはシンプルですが奥深い――「お客さまとの関係性を丁寧に育てる」ことです。
例えば、ある観光地のお土産物屋では、SNSを活用して商品の裏にあるストーリーを発信しています。
「このクッキーのデザインは地元の伝統工芸からインスパイアされました」
「この手作りアクセサリーは職人が1点ずつ心を込めて作っています」
といった投稿を続けることで、観光客の興味を引き、実際にお店を訪れる人が増えています。
また、お客さまが購入した品物を写真付きで投稿してくれたら、それをシェアすることで「お店とお客さまのつながり」をさらに強めています。
ここで大事なのは、お土産物屋さんは「お土産」を売っているのではなく、「旅の思い出」や「その土地ならではの体験」を提供している、という意識を持つことです。
お客さまが商品を手に取るたびに、その旅行での楽しいひとときがよみがえる。
そんな特別な価値を届けることが、お客さまの心に残る関係性を作るのです。
また、地方都市の自転車屋では、週末に「初心者向けサイクリングツアー」を無料で開催し、その様子をSNSでシェアしています。
ただ自転車を売るだけでなく、「自転車を通じて楽しさを共有する場」を作ることで、お客さまとの絆を深め、リピーターを増やしています。
この自転車屋さんも同様に、「自転車」を売っているのではなく、「自転車を通じたライフスタイル」や「アクティブな生き方」を売っているのです。
新しい自転車を購入する時、お客さまがこのお店を選ぶのは、商品だけでなく「このお店が提供してくれる体験や関係性」に魅力を感じているからなんです。
このように、「囲い込む」のではなく、お客さまと「共にある」関係を築くことが、これからのビジネスの成功に欠かせません。
企業繁栄の鍵は「共感と関係」
これからの時代、企業の成長を支えるのは「関係性」の力です。
お客さまとどのような関係を築けるかが、成功の鍵となります。
お客さまは誰も囲い込まれたくありません。
むしろ、企業やブランドとの間に自然で心地よいつながりを求めています。
そのためには、役立つ情報や興味深いエピソード、さらには自分自身の趣味や日常を発信し、共感を得ることが大切です。
あなたのビジネスをもう一度見直してみてください。
「囲い込み」ではなく、「共感」と「関係」を中心に据えると、きっと新しい可能性が見えてくるはずです。
新しい可能性を見つけるために
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藤村 正宏
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