再開発とか都市計画で合理的に作られた町はつまらない それは「匂い」が感じられないから

 

合理的に作られた町は面白くない

都市計画とか再開発をして、綺麗で広々とした安全な町を作るのって合理的です。
でも、合理的に生まれた町って、面白くない。
そう思いませんか?
新宿西口とか新幹線の新しい駅の駅前とかね。
昔からあった闇市のような市場を再開発して綺麗にしちゃう。
そんなことをしていると、町の魅力がどんどん失われていく。
そう思うのですよ。

下北沢に昔あった闇市の跡のような市場はとてもエキサイティングだった。
ワクワクした。
秋葉原の駅前もかなり綺麗になったけど、昔の闇市みたいなところで、最先端のIT部品が売っていて、夜になると映画のブレードランナーの舞台みたいに見えたものです。
(まだその名残がある店があるけどね)
スッキリのっぺりした、コンクリートとガラスの清潔な店ばかり並んでいる町より、新宿の歌舞伎町やゴールデン街、あるいは、僕の塾生の前川さんが飲食店を5店舗展開している、上野仲町通り商店街のような町の方が猥雑で、面白いし、人が集まってきます。
町としての魅力がある。

合理的な再開発は「匂い」がなくなるんだ。

上野仲町通りで店を経営している塾生の前川さんと

都市は臭いものだった

都市が発生した時、それは『くさい』ものだった。

特にパリは悪臭の都として有名でした。
おまけにペストやコレラが発生したりしたから、公衆衛生ということが多いに論じられて、都市の改造が実施されていったのです。
(コルビュジエがパリの大改造計画を提案していたけど実現しなかったことは喜ばしいことです)


はじめに監獄の改善っていうか、改修が行われたのです。

昔の牢獄といったら想像しただけでも暗い場所での湿気と匂いがただよってきますよね。

放射状に建物をつくり逆光の状態で囚人を監視したそうです。

臭気をでないようにしてね、視覚上は丸裸にしたわけです。

管理という観点では病院も学校も、工場も同じ感覚で設計されていったんだそうです。

そこで何が起きたと思いますか?

社会が無臭化したのです。

要するに匂いを洗い流して、匂いが付かないようにしてしまった訳です。

材料もコンクリートが主流になり、表面剤といしてはステンレスとかアルミとか、プラスティック、それにタイルが流行っていますよね。

それで結果的にあの「つるつるのっぺり建築物」ができ上がったわけです。

そこにはニオイなんて付きようがない世界です。
まあ、ニオイのもとの微生物が洗い流されて付着できないようになったわけです。


「清潔・安全」がコンセプトの社会になっていったのです。

大きな社会的の流れとして無臭化が進みました。


視覚、聴覚が優位になっていったんです。

臭覚革命とまで言われているのです。

悪臭を追放すると同時に良い香りも抹殺し、無臭の世界になるようにお金もかけて必死にやっているのです。

実際、匂いが社会に無くなると関連した病気も増えていくそうです。

「うつ病」だそうです。

このうつ病というのは悲しむことが出来ない病とも言われています。

匂いと共に失われたものが多くなったのは本当に悲しむべきことなんですね。

無臭建築っていうのは、無機的で機械的で、中で働いている人やその建物の持ち主の都合はあまり考えていない。

ま、カンタンに言うと、僕は好きじゃないってことです。
(もちろん個人の好みですよ)

もちろん安心で清潔な町は歓迎すべきものだけど、でもねやり方があるはずです。
なんでも合理的に考えて計画するんじゃなくて、もっと遊び心とか、余裕とか、無駄なノイズみたいなものを入れて楽しい町にする。
そんな方法は山ほどあると思うのです。
そんなつまらない町は、仕事の話ばかりして、教養がない経営者のようです。

合理性というのは「教養」が入るこむ隙間がないんだ。

ヒトは進化の発展の過程で視覚を優先して臭覚を退化させてきました。

ヒトは犬の臭覚と比べると1000倍も弱いとか、測定方法によっては100万倍も小さいらしい・・・。

樹上生活をはじめて、遠くを立体的に見る能力を獲得するために視覚を発達させて、臭覚はどんどん萎縮させていったんです。


匂いっていうのは、マーケティング的にも、都市計画にも、町づくりやイベントにも、考えてみる価値のあるエレメント(要素)だと思うのです。
本能の部分に訴えるものですからね。

だから、ないがしろにしないで、ちょっと気をくばってみよう。

裏街の方が好きなんだな

合理性だけでビジネスはやっていけない

失われた30年と言われて久しいですけど、日本だけどうして給料が上がらないのか、日本だけどうして経済成長ができなかったのか。

それは「合理性」に偏っていたから。
企業やビジネスパーソンが、合理性を追い求め、それ以外を排除してきたから。

比喩で言うと

「ビジネス書ばかり読んで小説を読まなかったから」

伝わるかな?(笑)
そういうことだよ!

だからこれからビジネスを成功させるためには、仕事やビジネスとは一見関係ないこと、いわゆる「教養」を学ぶ必要があるってこと。
エクスマでは塾生限定ですが、そんな場を作っています。
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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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