商品の差が曖昧になっている時代「世界観」が選ばれる決め手|「超・個人の時代」に対応するために

 

世界観を創り出すことが大事って言われているけど

「世界観が必要」とか「世界観を創れる人が必要とされている」とか、なんだか最近「世界観」っていう言葉が見られるようになっている。

たしかに僕も世界観って大事だと思う。
数年前の本に書いたことがある。
商品やサービスの差異がなくなっている時代、人々に選ばれるためには「世界観」が決め手になる。
そんな文脈で書いていた。

7年くらい前に書いた文章

会社や経営者の世界観が大事な時代だと思う。

以前のマーケティングは、新規客を獲得することに、エネルギーのほとんどを注いでいました。
そのために、販促や宣伝をして、自社の新しい商品や、店のキャンペーンを伝えていた。
でも、今は、消費者が自ら発信できる時代になった。

企業からの一方的な情報は、見向きもされなくなりつつあります。
今の時代は「SNS上でどう語られるか?」が大事なのです。
そして、SNS上では「世界観」がとても大事です。

その会社の世界観を出さなければ、語ってもらえない、選んでもらえない時代になると思う。

世界観というのは、どういうものが好きで、どんな考え方、思想を持っているか、どんなコンセプトでビジネスをしているのか。
概ねそんなことです。

販促や宣伝といったプロモーションの考え方を変えなければならない。
マーケティングの考え方も変えなければならない。
そうでなければ、競合と比較して、より安く、より多く、より早く、しなければ売れない時代になったのです。
でも、それって結構しんどいよね。
そうならないために、SNSで世界観を発信して、共感してもらうことなんです。

世界観は言語化できるのか

世界観って概ねそんなこと・・・って、曖昧な書き方してるなぁ。(笑)

でもね、世界観って何かっていうことは、言語化しにくい。
だって、ただよう雰囲気みたいな、曖昧なものだからね。

企業でいえば、経営理念とかコンセプトとか、そういうものともちょっと違う気がする。
個人で例えると、なんとなく日ごろから、感じるもの。
「自分のしっかりとした軸みたいな世界を持っているな」
そんな感じ・・・って

やっぱり感じになっちゃう。

今まで生きてきた間に、どんなことに喜びを感じてきたか、どんな嬉しいことがあったか、どんな悲しい思いをしたか、どれだけ傷ついたか、そんな経験の上に自然に創られてきたものだと思う。

だからその人の生い立ちや、好きこと、嫌いなことをたくさん聞くと世界観がある程度言語化できるかもしれない。

音楽はこういうものが好き
映画はこんなジャンルが好き
好きな食べ物は
好きな遊びは
嫌いなこと、好きなこと、喜びを感じること、・・・・

そういうのをたくさん言葉にしていく。

クラシックもロックも聴くけどジャズが一番好き
村上春樹、夏目漱石、梶井基次郎の檸檬、セリーヌの夜の果てへの旅、夏への扉、ヘミングウェイの日はまたのぼる、小池真理子の恋が好き
卵焼き、お味噌汁、おしんこ、鯖の塩焼き好きだけど、大阪のホテルニューオータニの中華料理レストランのフカヒレ姿煮も好き
デュシャン、クリスト、セザンヌ、マンレイ、コクトー、モネ、マネ、ロートレックの作品が好き
世界史が好き、物理学が好き、テクノロジーが好き、生き物が好き、花が好き・・・・

そんなことをずっと書き出していってみる。

それまで生きてきた生い立ちとかが世界観の創造の背景にあるのなら、世界観って今から創り上げることって無理なのか。
無理じゃない。
というか、世界観は誰もがすでに持っている。

それを磨き続けていくと、世界観が他の人たちに伝わるようになると思う。

磨くっていうのは、興味関心事を多くするってこと。
関心事をもっと広くする。
関心ごとが多い方が人生は確実に楽しくなるし、ワクワクする。

同じ映画を見ても、同じ美術館に行っても、同じ人と会っても、関心ごとが多いと発見が多くなりますよね。

先日新宿のSONPO美術館に「ロートレック展」を観に行きました。
僕は美術館にいくと、建築が好きなので建物をよく見たり、内装や展示の仕方や照明の使い方も見る。
グラッフィックデザインも好きなので、ポスター、パンフレット、チラシ、解説パネルの作り方も気になる。
ロートレック展のグラフィックデザインはかっこよかった。
ロートレックは元々、商業デザインの仕事をたくさんしていたからね。
ホールや会場のBGMも気にします。
通路に流れていたのは、1920年代に流行していた音楽。
ムーランルージュのような世界が垣間見える。
世界史も好きだから、その頃の時代背景やパリのカフェに集まっていた芸術家たちのことまで、思いを馳せ、とても楽しめました。

そんなふうに、関心ごとが多くなると、入ってくる情報が多くなるんだよね。

あなたの世界観をもっと磨いて、発信することが大切なんだと思う。

「超・個人の時代」に対応するためにね。
ともかくやってみよう!ダメだったら変えればいいんだから、ね!

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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