太宰治の作品から見るビジネスの真理
太宰治ってわりと好きな作家です。
ちょっと破滅的で自堕落、無頼な感じ。
薬物中毒、女性関係、自殺願望・・・ある意味乱れきった私生活。
でも、作品は素晴らしいと思う。
没落貴族の女性を主人公に、滅びゆく美しさを描いた『斜陽』。
自伝的な要素が濃い『人間失格』。
『ヴィヨンの妻』『走れメロス』などなど・・・若い頃からよく読んでいました。
物語の裏に隠された人間の「業」や「真理」が織り成されている。
太宰治が書いた、短編小説『おさん』の女性主人公がこういうことを言っています。
革命は、人が楽に生きるために行うものです。
悲壮な顔の革命家を、私は信用いたしません。
この小説は、好きな小説です。
妻子のいる家庭から、愛人のもとに通う夫を冷めた目で見る、妻の語りという重いテーマですが、なぜか面白い。
結局、革命だの何だのと大仰なことばを並びたて、浮気相手の女と心中した夫のことを
「つくづく、だめな人だと思いました。」
「悲しみとか怒りとかいう思いよりも、呆れかえった馬鹿々々しさに身悶えしました。」
と、冷めた視点で語る妻。
その最後の部分で、この言葉が出てくる。
でも、それは「本音」ではない。
何か、説明のできない裏の裏にある、「真理」が文章の端々に感じられる。
いい小説です。
これを読んで、ビジネスと一緒だなって思った。
ビジネスとは、人が楽に生きるために行う物です。
悲壮な顔のビジネスパーソンを、私は信用いたしません。
こんな感じですかね。
忙しい、忙しいと言っている人や、つまらなそうに仕事している人、心がこもっていない人などは、ビジネスが上手くいかないよな。
そう思うのです。
だからいつも上機嫌で仕事したいよね。
面白がること、楽しむこと、やりがいを感じること。
それが大事なんだな。
藤村 正宏
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