ジョン・レノンの『イマジン』の名曲性に気づく
ウクライナ戦争が始まってもう1ヶ月以上が経ちました。
悲惨な動画や画像がマスメディアでもSNSやウェブでも、毎日、常識のように目に入ります。
その度に僕の魂が悲しみ叫んでいるのがわかる。
どうしてこんな不条理なことが起きるのだろう。
なぜ罪もない人たちや若者や子どもたちが命を落とさなければならないのだろう。
そんな感情になり、その度に感情をコントロールして平穏に戻す。
それを繰り返しているような日々。
でも、どうしようもなくなることもある。
悲しくてやりきれなくなる。
そんな日々を過ごしている時に、音楽や美しいものは、心を平穏にしてくれます。
先日。作家の村上春樹さんが「TOKYO FM」で時々やっているご自身の番組「村上RADIO」で特別番組をやりました。
村上さんが自ら選曲した楽曲で反戦と平和を訴えるという番組。
「村上RADIO特別版戦争をやめさせるための音楽」
番組が始まってすぐに村上さんは「音楽に戦争をやめさせるだけの力があるのか。残念ながらそういう力はないと思います。でも聴く人に『戦争をやめさせなくちゃいけない』という気持ちを起こさせる力はあります」とあいさつしました。
その後約1時間、村上さんが自分が持っているCDやレコードの中から選んだ曲を、歌詞の意味や当時の社会情勢とともに紹介してくれた。
とてもいい番組でした。
ピーター、ポール&メアリーの「悲惨な戦争」
ドアーズの“The Unknown Soldier”「名もなき兵士」
スティーヴィー・ワンダーがボブ・ディランの名曲をカヴァーした「風に吹かれて」
最後の方にジョン・レノンの有名な曲「イマジン」が紹介されました。
流れたのはジャック・ジョンソンが歌うイマジンでした。
村上さんはこう言いました。
「この歌詞はとても有名なので、みなさんはたぶんご存じだと思うんですけど、いちおうご紹介しておきます。
<歌詞の紹介>
こうして読み上げると、ずいぶん楽観的な歌詞だなと思いますけど、でも実際に歌われるのを聴いていると、やはりじんと来ます。1971年、理想がまだ生き残っていたというか、未来を信じることができた時代だったんですね。理想を信じたシニカルなドリーマー、ジョン・レノン。彼の死によって、世界の情景が大きく変わってしまいました。とても残念なことですが。」
ジョン・レノンの「イマジン」とてもいい曲ですが、あまりにも有名すぎて「イマジンが好き」とはなかなか言えませんでした。
へそ曲がりで天邪鬼な性格だからね。
ジョン・レノンの曲だと「イマジン」よりも「ジェラスガイ」の方が好きだし、イマジンはあまりにもストレート過ぎるし、村上さんが言うように楽観的で理想的過ぎると思っていた。
でもね、戦争が実際に起きている今聴くと、本当に心に染み込んでくるいい楽曲。
悲しんで叫んでいる僕の魂に入り込んで慰めてくれる。
「イマジン」の名曲性を感じたひとときでした。
番組の最後に、村上さんはアメリカのキング牧師の演説を紹介しました。
「ヒトラーがドイツで行った行為はすべて合法的だった。そのことを決して忘れてはならない」
それに続けて「指導者にただ黙っておとなしくついていくと大変なことになりますよ」。
音楽に戦争をやめさせる力はない。
確かにそうだと思う。
でも音楽は「不条理な戦争をやめさせようとする力」を人々の心に与えてくれる。
その一人一人の思いが、時間をかけて世界を変えるのだと思う。
ロシアが仕掛けたウクライナの戦争は、まだ続くかもしれません。
僕たちは、どんなに辛くてもその事実から目を背けてはダメだと思う。
一日も早く戦争が終わりますように。
平和で誰もが協調できる世界になりますように。
<追記>
どういう曲が紹介されたのか知りたい方は以下のリンクを見てください。
村上さんのナレーションの一部もテキストになっています。
【村上RADIO 戦争をやめさせるための音楽】
藤村 正宏
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