「敵」を「味方」に変える発想 マイナスをプラスにできないかを妄想してみよう

2021 F1 日本が活躍しているんです

今年のフォーミュラー1(F1)はとても面白い。
各チームの戦い、応援している選手のドラビングテクニックそして日本勢の活躍。

『メルセデス』と、コンストラクターチャンピオンシップ争いをしているチームは、『レッドブルホンダ』。
そして、『アルファタウリホンダ』の日本人ドライバー角田裕毅くん。
日本勢が大きな仕事をしているのです。

残念ながら、鈴鹿サーキットで行われる『日本グランプリ』はコロナの影響で、2年連続中止になってしまいましたが。
日本のF1スピリットは健在です。

今日はF1からのビジネスの気づきを書きます。

単純に速いクルマだったらどこでも作れる

F1のレースというのは、以前、スピードを速くすることが勝つことだと、ずっと思われていました。
どこのチームも、ともかく速く走るためのマシンを開発していました。
でもある意味、単純に速いマシンを作ることは、けっこうどこのチームでも作れるわけです。

速く走るためには、空気抵抗が一番問題です。
だから各チームは、空気抵抗をなるべく減らすようなデザインや動きを考えて開発していたわけです。

ところがあるとき、頭のいい人が出てきた。

レース場って、コーナーがけっこうあります。
直線もあるけど、それだけじゃありません。

鈴鹿サーキットもS字やヘアピン、ダンロップコーナー、シケインなど、低速・高速コーナーがたくさんあります。
コーナーがあるんだから、もしかしたら少々直線スピードが遅くても、このカーブを速く曲がれれば、より速く1周を回ってこられるんじゃないかと考えた。

F1は自動車産業の発展に大きく貢献している

F1は自動車産業の発展に大きく貢献している

それまでは、空気抵の抗だけを敵ととらえていました。
だってより速く走るためには、マイナス要因だったから。
だから、クルマも、空気抵抗をなるべく減らそう、減らそうというデザインをしていた。

ところが、コーナーを曲がるときにスピードを上げ過ぎると、外へ飛び出したり、スピンをしてしまう。
速いスピードのままコーナーを曲がれるようにするためには、クルマを路面にくっつけることが必要。
路面にぴたっとくっついていると、スピードを出したまま曲がれるわけです。

そこで考えたのは、まさに発想の転換。

いままでマイナスだった「空気」を、プラスに変える考え方。

空気の圧力で車体を路面にグッと押し付けるようなデザインにしたわけです。
だからF1マシンって、高速でコーナーを曲がることができるのです。

これは飛行機と逆の発想です。
どうして飛行機は空を飛ぶかというと、翼の上と下を通る空気の流れを変えることによって上昇する。
F1マシンはそれを逆にしているんです。
空気の流れで下に押し付ける力を発生させて、コーナーを高速で曲がる。
この力を「ダウン・フォース」って言います。
この発想があったから、F1マシンは飛躍的に進化していったのです。

今のトップチームのF1マシンは、理論上、トンネルの天井を逆さまに走ることができる。
ダウン・フォースでくっついたまま走ることができるくらいだそうです。
それくらい、路面に密着しているわけです。

今までみんなが当たり前に思っていたことをすべて否定して、まったく違う発想で、速く車を走らせた。
常識だったことが全然違っていた。

今の時代、ボクたちのビジネスも、
「敵」を「味方」に変える発想
をすることが大事なのかもしれません。

マイナス要因をプラスにできないか?
競合を味方にできないか?
弱点を長所にできないか?

たとえば、薬の副作用。
副作用と思ったら、それはマイナス要因です。
血圧を下げる薬の副作用で、体毛が濃く生えてくる。
それを応用して、発毛剤が作られました。
大正製薬の「リアップ」はそういう薬です。
鼻炎薬の副作用で眠気が襲ってくる。
それを利用して、睡眠導入剤が作られました。

「敵」だと思っていたものが、思わぬところで「味方」になる。
視点を変えてみると、面白い気づきがたくさんあるかもしれません。
もっと、もっと発想を広げてみる。
そうすると「豊かな」ビジネスができるようになる。

今週末はアメリカグランプリです。
楽しみです。

 

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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