若手ファッションデザイナーの挑戦|業界の常識を打ち破るハングリー精神

間違いなく世界に誇る日本のデザイナー川久保玲

先日、NHKのニュースウェブで「コロナ 川久保玲が語ったこと」と言うコラムを見つけました。

日本を代表するファッションブランド
「コムデギャルソン」

デザイナーであり、コムデギャルソンの社長を務める、川久保玲さんのインタビューが中心のコラムでした。

40年にわたって毎年パリコレクションで新作発表してきたファッションブランド「コムデギャルソン」。
今年は新型コロナウィルスの影響で参加を断念。
そのかわり東京で開催された、オンラインファッションショー。
少人数の参加者を招き、20点の新作を発表。

テーマは「不協和音」

相変わらずその表現は、独自性があふれ、孤高のデザイナーにふさわしいものでした。

川久保玲さん、もう78歳なんだな。
結構灌漑深いものがあった。

僕が若い頃は、黒の服で世界に衝撃を与えたり、ボロボロの服で革新性を世界に見せつけたり、間違いなく世界のトップデザイナーです。
今でも健在で、エネルギー溢れる作品を創り続けている。

コロナ禍を乗り越えるためには、「いつもハングリー精神を忘れないで、新しいことを探求すること」というのがとても印象に残った言葉でした。

彼女の作品は、素晴らしいし、これからも世界でトップを走るデザイナーであることは間違いないと思う。
特に今年は、山本寛斎さんや高田賢三さんという日本の世界に通用するデザイナーが相次いで亡くなりました。
我が国のファッションを代表するデザイナーとしてますます活躍してほしいと思う。

NHKのNEWS WEB『コロナ 川久保玲が語ったこと』はここから

川久保玲さん(NHK NEWS WEBより)

若い人たちのクリエーションは尊敬に値する

同じ記事の中で、若い世代のデザイナーたちの、このコロナ禍の状況での取り組みが紹介されていました。
ウイズコロナ時代に、どうしたら自分の作品を世に問うことができるか。

まさに強烈なハングリー精神から創出された、試行錯誤と挑戦です。

リアルのファッションショーや展示会ができない状況で、業界の常識に縛られず服を発表している若手デザイナーたちには、大御所の川久保玲さんとは違うエネルギーを感じた。
若い世代のデザイナーの挑戦の話はとても参考になるし、頼もしい限りです。

ファッションブランドは、リアルの場での作品発表の機会がなくなってしまったので、オンラインでの作品発表が主体になっています。

メンズブランドの「ダブレット」は、事前に撮影した、ゾンビが登場する短編映像を配信し、配信終了後に特殊メイクでゾンビ姿になったモデルが会場に現れ新作の服を披露するというもの。
そういったオンラインならではのアイデアで、より面白く、よりインパクトを持たせたショーになっている。

「ダブレット」のファッションショー


新たなシーズン感を出すと言う試みをしている若手デザイナーもいる。
tac:tac(タクタク)の島瀬敬章さん。

ファッションからシーズン性をなくしてしまう。
どういうことかというと、通常のファッションブランドは、秋に翌年の春夏物を発表することが前提です。
ところがそのシーズン性をなくしてしまう。

春夏の服なのに、コートやマフラーなど秋冬に多く見られるアイテムも発表。
そんな秋冬アイテムをショートパンツやタンクトップと合わせて提案などをしている。
とても面白い。

服を着たくても来られないと言う気持ち、外に出たくても出られない、人と会いたくても会えない、そんな中で従来のファッション業界の考え方に疑問を投げかけ、夏にマフラーをしてもいいし、夏のコートだってあるじゃん。
みたいな感じ。
確かに短パンとタンクトップにマフラーって、意外にいけていますよね。

持続可能なファッション、サスティナブルと言う言葉を使って表現するデザイナーもいます。

服を大量生産大量販売し、大量に廃棄すると言う、今のアパレル業界の常識を変えたいという試み。
コロナ禍で、売れ残った服が大量に出ています。
それってなんかおかしいんじゃないの?
と、これまで当たり前とされてきたファッション業界の慣習を問い直す動きです。

服をワンシーズンで終わらせるのではなく、前のシーズンや次のシーズンのアイテムとつなげて着られるシリーズを発表する。

考えてみたら、服というのは何年も着られます。
ワンシーズンで流行遅れになるという従来の考え方を見直し、流行そのものの定義を変えてしまう。
去年の春に買った服と今年の春に買ったアイテムをコーディネートすることで新しさが生まれる。
そんな感じで、コーディネートで流行を作っていくって方法もある。

そもそも洋服と言うのは、新しいデザインばかり生み出し、流行の波乗って行かないといけないものだろうか?
もしコロナがずっと続いたとしたら、そもそも流行と言うものの定義も変わってくるはず。
ファッション業界も循環型のものづくりをベースに考えるそんな時代なのかもしれない。

そんな単純な疑問をもった、若いデザイナーが出てきている。

半年ごとに大量の服を作り出すと言うファッション業界の常識が大きく変わりつつあります。
今までの経済効率、利益至上主義で、危ういバランスの上でかろうじて成立していたビジネスモデル。
それが新型コロナウイルスの登場で脆くも崩れ去ったってわけです。

ファッション業界は正念場を迎えています。
どんどん淘汰が始まるでしょう。
残るブランドはごくわずかかもしれません。
そんな中、若手のデザイナーたちは固定観念を壊し、新しいファッションの道、新しい流行の定義などを探求し、チャレンジしている。

若い人たちのクリエーションや、行動力、アイディア、ほんとにリスペクトします。
業界の常識、社会の常識、そういうものに縛られずに、新しい世界を作り出していく。
こんな若者たちが、これから新しい日本を、新しい世界を作っていくんだろうなと思って、すごく頼もしく感じました。
ファッション業界の若手のチャレンジを、あなたの業界に置き換えて考えてみてください。
あなたの業界にもハングリー精神があふれる若い才能がたくさんいるはずです。
その芽を潰さずに活躍の場を作ってあげてください。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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