風邪気味の朝に届いた嬉しい知らせ
風邪をひいて体調が悪い冬の朝、遅く起きたら、すごく嬉しい知らせが届いていた。
それはボクの本「新版 安売りするな!価値を売れ!」が8回目の重版になったって知らせ。
本当に嬉しかった。
一気に風邪も吹っ飛んで、元気な気分になった。
3年半前に出版された本がまだ重版する。
ロングセラーでベストセラーになっているのは、とても嬉しいことです。
独自の価値を創出する5つのキーワード
この本の中に、安売りしないで価値を高めるための5つのキーワードをあげています。
「関係性」「個」「好き」「編集」「逸脱」
これは普遍的なことなんだと思うんですよ。
1:関係性
機能やスペック、デザインはすぐに真似されて、似たようなものが世の中を覆い尽くす。
モノの価値では差がわからない時代です。
そんな時には、あなたのお客さま、友人・知人、との関係性はあなただけの価値です。
人は見ず知らずの人より、よく知っている人の方を信じます。
同じものを買うのなら、知っている人から買いたい。
たとえばあなたが遺産相続のことで問題を抱えているとします。
法的に解決してくれる専門家に相談したいとします。
もしあなたの友人にその専門家がいたら、Googleで検索する前に、その人に相談しますよね。
あなたがお付き合いのある会社の新店開業祝いに、お花を贈りたいと思っているとします。
そんな時に、同じビジネス勉強会で友達になったセンスのいいお花屋さんがいたら、その人に相談しませんか。
それが関係性です。
2:個
個性、個人、の個です。
独自化しなければ選ばれない時代、目立った個性がないというのは致命的です。
あなたの商品や店じゃなくても、他で代替できるという時代。
個性が価値になります。
そして商品ではなかなか個性が出せません。みんな素晴らしい商品だから。
でもあなたと言う個人は、世界に一人しかいないわけです。
あなたという個人が関わることで、商品に独自性が生まれるのです。
たとえば、今アパレル業界は惨憺たる状態です。
少し前まで業績が良かった有名なセレクトショップも苦戦している。
でも、そのセレクトショップの中でも売れている店員さんがいる。
その店員さんがいる店舗は、業績がいい。
彼ら彼女らについているお客様がたくさんいるのです。
まさに、どこで買うかより誰から買うかにシフトしているのです。
3:好き
好きなことを仕事にする。
好きなことを今の仕事に取り入れてみる。
そんな考え方が、新しい価値を生み出す大きなヒントになる。
個人、仕事、好きなこと。
これをかけあわせて何ができるかを考えてみる。
酒屋さんで音楽好きだったら、店でお酒と音楽のイベントをやると、他の酒屋にはない価値になります。
小さなホテルをやっているオーナーが海釣りが好きだったら、釣り仲間が集まるイベントや宿になります。
格闘技好き、映画好き、歴史好き、イベントだけじゃなくブログやSNSの発信も個性的になります。
さらに、好きなことは何時間やっていても飽きないし、ストレスもありません。
好きなことはもっと勉強したくなるし、勉強しても苦じゃない。
どんどん独自の価値ができてくる。
好きなことがないという人だって、後天的に好きなことを見つけることができる。
まさに、「遊ばざるもの、働くべからず」になってきたのです。
4:編集
世の中には売れる商品があるのではなく、売れる売り方があるだけなのです。
この売れる売り方が「編集」なのです。
編集は様々な情報を組み合わせて発信すること。
新しい価値を創出することになる。
「夏休み水泳教室」を売っているスポーツジムがありました。
「夏休み水泳教室」だと、他のジムやスイミングスクールでもやっています。
差がよくわからない。
そこで自分の商品は世の中に何を提供しているのか、もう少し大きな視点になってみる。
夏休み水泳教室に来た子が、2学期の水泳の授業でうまく泳げるようになって、自信マンマンになって、それから虐められなくなった。
そんなふうに言われた。
そうすると水泳教室を売っているのではなく、子どもたちに自信をつけてあげて、虐められなくなるということを売っているのかもしれない。
これも編集作業です。
いつもの商品への新たな意味づけを考えてみましょう。
5:逸脱
世界のあり方が変わりつつある時代、仕事のやり方やマーケティングの考え方、もしかすると経営そのものの考え方すら、変えなければいけないと思う。
それも過去の延長線上の思考だと、いくらやっても意味がないわけです。
ビジネスの常識や、業界の常識の中だけの、中心文化だけで考えると、視点が狭くなります。
中心文化の中で考えていると、安心だし安全かもしれません。
でもそこから出てくるアイデアは、他の会社も考えるようなもの。
そういう種類のアイデアはあまり価値がないのです。
新しい画期的なアイデアを生み出すためには、中心文化からの逸脱が必要になります。
周辺に立ち位置を変えてみると、見えてくることがあるはずです。
今まで常識の枠から外れていると、排除されていた視点を大切にしましょう。
文化や芸術的なこと、無駄なことを積極的に取り入れることが、価値になる時代です。
中心文化だけではなくサブカルチャー的な視点ということです。
安売りは誰も仕合わせにならない
「関係性」「個」「好き」「編集」「逸脱」
以上の5つのキーワードを使って、「安売りせずに価値を売る」ことを、さまざまな事例と共に説明している本です。
安売りをしていては、誰も仕合わせになりません。
それどころか、安売りのビジネスをしていると、楽しくないし、世の中が疲弊していきます。
安売りせずに、「価値」を売りましょう。
ビジネスの目的は、世の中をよくして、人々を仕合わせにすることなのですから。
現代社会は激しく振動しながら変化しています。
毎日、毎日、新しい情報が流れてきて、情報が消費されている。
SNSとスマホの普及はマーケティングを劇的に変えました。
風景は昔と変わっていないように思えますが、同じ風景も以前のものとは変わっているのです。
それに気づく人と気づかない人がいると言うこと。
鴨長明が鎌倉時代に書いた「方丈記」
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。<現代語訳>
川の流れはずっと続いているように見えるけど、それは同じ水ではない。
よどみに浮かんでいる泡もそこにずっとあるわけではなく、入れ替わっている。
人も住む場所も、この泡のようなものだ。冒頭の言葉です。
変化は目に見えないかもしれませんが、確実に起きています。
テクノロジーの進化や世の中の流れ、人々の心は、どんどん変わっています。
それを捉えて、差別化を目指すのではなく、独自化する意識になりましょう。
8回目の重版。
本当に嬉しいことです。
これもすべて、読んでくれたたくさんのみなさんのおかげです。ありがとうございます。
そしてたくさんの励ましとアドバイスで、一緒に作ってくれた編集の酒井さん。丁寧に売ってくれた出版社の営業のみなさん。そしていつも応援してくれるエクスマ塾生のみなさん。
心から感謝しています。ありがとうございます。
今読んでも、まったく古くないし、まだまだ今の時代の気づきのある書籍だと自負しています。
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藤村 正宏
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