一見役に立たない学問が本当に新しいものを創ってきた

スティーブ・ジョブズのスピーチに激しく共感

「アップルというのはテクノロジーの会社ではなく、テクノロジーとリベラルアーツの交差点にあるんだ」

スティーブ・ジョブズのスピーチで、とっても共感した部分です。
新しいことを生み出すには、リベラルアーツが必要だと言っているんです。

リベラルアーツとは「すぐには役立たない学問」のこと。
別の言い方だと「教養」ってこと。

昔からビジネスで成功するためには、文化・芸術が必要と言っています。
ビジネス書ばかり読むのではなく、小説や歴史、自然科学、人文科学に本を読むこと。
映画や美術に興味を持つこと。
などなど、一見ビジネスには関係ないことが大事なんだと、セミナーやエクスマ塾でいい続けています。
だから、このスピーチにものすごく共感したのです。

ジョブズのスピーチ<記事の最後にYouTubeをリンクしています>

でも、このスピーチは昔から知っていたのではなく、先日放送されたNHKの「最後の講義」というシリーズを見ていて、その中で紹介されていたものです。

このシリーズは「もし今日が人生最後なら、何を伝えたいか?」
というテーマで、各界の学者さんや文化人、その道の権威が英知を注ぎ、大学生や一般人に講義をするという番組。

生物学者の福岡伸一。
ロボット工学の石黒浩。
映画監督の大林宣彦。
などなど、とても興味深く、面白い講義をやっています。

ジョブズのスピーチを紹介していたのは、物理学者の村山斉博士の回。
宇宙と素粒子の最新の理論と科学の面白さを伝えてくれた講義です。
とても親しみやすく、面白く、感じのいい先生です。<村山博士のTwitter>

 

その講義が終わり、質疑応答の時間になりました。
参加していた女性の学生さんが質問しました。

「この分野の実験や研究には、莫大なお金のかかるものですよね。それを社会から支援を受けているのであって、学問的な好奇心を満たすことだけじゃなく、社会的な責任も問われてくると思うのですが、そのことはどうお考えなのでしょうか」

それに村山博士はこう答えました。

「色々な基礎科学の研究は税金で行われています。いただいたお金があるということは、責任が発生することなので、その価値ちゃんとを伝えていくことが大事だと思っています。
日本ってそもそも、とても不思議な国だと思うんですよ。なぜかと言うと全然資源がない。こんな資源のない国が、普通成功するわけはないのです。
資源のない日本のような国は、柔軟にものを考える力を育てていかないと、危ないんじゃないかと思うのです」

そしてその後にジョブズのスピーチを紹介して、こう続けました。

「一見役に立たない学問が本当に新しいものを創ってきたのです。直接役に立たないように見える基礎研究、宇宙であり素粒子であり、場合によっては哲学のような学問、そういうものがあるからこそ、社会として次の一歩を踏み出せる。特に変革の激しい今みたいな時代を生き残っていけるんじゃないかと、個人的には思っている」

これを聞いた時、やっぱりそうだよな。ってすごく思った。
会社も個人もそう言うことなんだなって。

これからビジネスで成功したかったら、リベラルアーツが大事なんだってこと。

リベラルアーツでアップデートしよう

今は、変革の激しい時代です。
テクノロジーの進化や社会構造の変化、地球環境問題、さまざまな要因で今までのビジネスのやり方が時代に合わなくなって価値を失いつつあります。
そんな中で、ビジネスパーソンや経営者の思考や行動はアップデートしなければならないと思うのです。
そうでなければ古い時代のやり方の中で、どんどん苦しいビジネスを強いられていく。
そんなの仕合わせじゃないし、楽しくない。

リベラルアーツというのは直訳すると「自由になる技」ってことです。

自由になるというのは、多くの違う視点を持つことができるってことだと思うのです。
今、やっていることが行き詰まったら、違う視点に立って新しいことができるようになる。
その選択肢が多ければ多いほど、新しいことが生み出されると思うわけです。
でも、選択肢がないと、情報に振り回され、今本当に何が起きているのか、その今にどう対応していけばいいのか、それがわからなくなる。
それは不自由という状態です。

リベラルアーツは、ビジネスにはすぐには役立たないことかもしれません。
でも、すぐに役立つスキルやノウハウは、時代の流れが早い今、すぐに役立たなくなると思っている。
だから、普遍的なものをエクスマ塾生さんやエクスマのことが好きな人に知ってもらいたい、文化や芸術、歴史などの教養の分野もたくさん発信していこうと思うのです。

一見役に立たないように見えることが、今一番大事なことなんだと思うから。

スティーブ・ジョブズのスピーチYouTube

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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