ユニクロのフリーマガジン
デジタルの情報が溢れ、どの情報を選んでいいかがわからなくなる。
せっかく選んだ情報なのに、あまり良くなかつた。
そんな経験したことがあると思います。
みんながそんな状況になると、その人のためにピンポイントに届けられる厳選した情報が、より刺さることもあります。
だから、チラシ、名刺、小冊子、書籍、手元に実感できる紙媒体の価値は、たぶんこれから(創り方を考えれば)大きな力になると思う。
そんなブログを先日書きました。
【リピーターの多いお店がやっていること|SNSが普及した今だからこそ効果のある紙販促物について】
今日もそれに関するブログです。
ユニクロが先月、8月23日に発行した、フリーマガジン『Life Wear』創刊号。
ユニクロの店舗などで無料でもらえます。
少し前から、紙の媒体の価値が増しているんじゃないかなって思っていたところに、ユニクロのフリーマガジンのニュースが流れてきたので、すぐに見たくてもらいに行きました。
想像していたよりも厚く、丁寧に作られている。
ただの商品カタログではなく、雑誌としても読み応えがあるものになっている。目次の画像を見てもらうとわかるけど、世界中に取材をした記事。それも何らかの形でユニクロと関わりのあるものになっている。
よくできているなと思ったら、編集は元ポパイの編集長をやっていた木下孝浩さん。
紙の使い方にも凝っていて、光沢のある紙を使っているページと、つや消しのマットな紙を使っているページに分かれている。
これがフリー(無料)とは驚き。さすが国際企業だな。
ボク的には、アーティスト、キース・ヘリングとユニクロのコラボの記事が面白かった。
キース・ヘリングのアートがプリントされたTシャツとか昔着ていた。そうか、キースが亡くなってから、もう29年も経つのか。
今秋の商品に、キースの作品がプリントされたものが出る。
久しぶりにユニクロの服を買いたくなった。
ユニクロのフリーマガジン『Life Wear』は、まさにエクスマ。
服を売っているカタログやパンフレットではないということです。
未来が見えている企業はエクスマを知っている
ボクが18年前、2001年8月に出版した処女作
「モノ」を売るな!「体験」を売れ!<オーエス出版:現在は絶版>
この中に、これからのカタログやパンフレットは雑誌風に作ること。
そんなことを書いています。
ちょっと引用してみます。
さて、あなたの会社のカタログやパンフレットはどういうものですか?
え?
商品は載せてある?
その商品のスペック(性能やサイズ、材質とかです)も解説してありますよね?
あとは価格も載せていますよね?他は?
それだけですか?それはモノを売っている従来のやりかたですね。
それじゃ売れないでしょう。
エクスペリエンスマーケティングでは、カタログを雑誌風に作るというのがコンセプトです。雑誌風カタログは、企業がターゲットとなるお客様との関係を築くための、
コミュニケーションツールになります。
ただ単に商品を載せて、価格が書いてあるだけのカタログは、非常にもったいない使い方といえるでしょう。じゃあどうすればいいかって?
パタゴニアというアウトドアウェアのメーカーがあります。
この手のメーカーは国内外、まあいろいろとありますよね。
例えば数年前に拡販路線をとって黒いダウンジャケットが若者の間で爆発的に流行り、偽物まで出回ってしまったN社とか、中高年の登山ブームとも相まってデパートなんかにも出店しているJ社、ファミリーチックなキャンプ用品なんかもあるL社・・・。それぞれいろいろな商品を展開して、顧客を獲得しようとしています。
でもそれらあまたのメーカーから明らかに一線を画しているのがパタゴニアです。
「正直言って他よりちょっと高い。でも欲しい!」と思わせるブランド。
「とにかくかっこいい!」
と思わせるブランド。
それはなぜか?
そのヒントはカタログにあります。
パタゴニアのカタログを見ていると、普段雪山になんか行く予定のない私まで、「うーんこのジャケットはなかなかいいぞ」とか、「このシャツなら、山でも街におりた後でも機能的かつスタイリッシュだ」などと思ってしまう。
つまり、このカタログを見ているだけで、あたかも自分が大自然にとけ込むクライマーやアスリートになった気がしてしまうわけです。(実際はなれませんけど)
自然と共生している「むちゃくちゃかっこいい自分」を容易に疑似体験させてくれるわけです。
それはなぜかというと、単に商品が並んでいるカタログではないからです。
あるアクティピストの冬の一日。
朝、4時に駐車場で起床。
トレッキングやスキーに6時間没頭し、日没と闘いながら、秘密の滝やごつごつした岩肌をクライミング・・・(中略)・・・寝袋に倒れ込むまで、保湿性、吸湿発散性にすぐれ、どんなレイヤリングにも対応・・・・このタイツを脱ぐ必要はありません。どんなに汗をかいても大丈夫、アクティブシーンから寝袋に入るまで脱ぐ必要はないと言っているわけですが、なんかいろいろイメージわいてきませんでしたか?
普通、アイテムを一覧できるカタログというと、単にスペックを並べたり比較したりするにとどまりがちです。
でもこんな風に、実際にそのアウトドアウェアを自分が着ているかのような気にさせる文章がちょっとついているだけで、非日常的な商品もぐっと身近に感じられますよね。ついでにもう一つ例をあげましょう。
ストレッチ・ライト・ジャケット
アイゼンを付けて夜明けを迎え、スキーをしながら日没を見送るような日を想定してデザインしました。・・・・(以下略)うーん、なんかかっこよくないですか!思わず山頂に立つ力強くてタフな自分の姿を想像してしまいます。
ちなみにこの商品、夕焼けのような鮮やかなオレンジと、夜明けを迎える空のようなくっきりとしたブルーの2色に展開されている、シンプルなジャケットです。その他にもカタログにはそこここに商品以外の質の高い写真が掲載されています。
美しいけれど人を拒むような峻険な大自然。
ロープづたいに足場を確かめながら氷壁に挑む男達。
ひとときキャンプで暖をとりコーヒーを飲み、寝袋に潜り込む。見ているだけで想像力をかきたてられます。
それに秀逸なコピーと説明文がつく。
カタログ自体に商品紹介だけでない意味をもたせ、消費者に「一つの場面」を提供しているわけです。コピー
実用的であれば、野暮ったくてもいいという考えは始めから持っていない。パタゴニアは、行動的、活動的、意欲的な人々のためのウェアをつくっている。コピー
一気にすべてのコットン製品をオーガニック・コットン100%に切り替えた。その賭は価値のあるものだった。カッコイイですよね〜。
「洗練された商品」と「大自然の中で様々なスポーツや冒険に挑む人々」、そしてある種の「哲学」という3つのイメージが一体になることで、一気に読み手を主人公であるアスリートにも、環境保護者にもしてしまう。
企業としてのポリシーをさりげなく織り込みながら、消費者にまで「そうだよな。」と頷かせてしまう。読ませることで、実際にはちょっとかけ離れているけれどなってみたい自分、憧れているライフスタイルを体感してもらうのです。
そう、つまりこの時点で読み手にとってパタゴニアは、他社とは差別化されたひとつの憧憬を伴った「ブランド」に変化したといえます。
これが体験型「雑誌風カタログ」です。
<まとめ>
カタログやパンフレットに、商品以外のどんな情報を載せることができるか考えてみよう。
お客さまがお金を払ってでも読みたいカタログにするには、どうすればいいか検討してみよう。
ユニクロは見えているのです。
将来、服を売っていたら、ダメだってことを。
どんなに機能がよくても、デザインがよくても、価格が安くても、服を売っていたらダメだって。
未来が見えている先進的な企業はもうわかっているのです。
モノを売っていたら、ダメだということ。
これからはエクスマが主流になるということです。
あの日本を代表する自動車メーカー、TOYOTAも「車は作らない」と宣言しているのです。
「商品」を売っているという意識では衰退の一途をたどる。
モノではなく体験を売る考え方、それが基本になかったら、次の時代のビジネスに参加すらできない。
ユニクロはもう見えているのです。
TOYOTAはもう見えているのです。
あなたもエクスマを深く学んで、次の時代のゲームに参加しましょう。
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10月のテーマは「映画」です。
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ボクも聞いたのですけど、すごくおもしろい話です。
多分彼の話を聞くと、ホラー映画大嫌いという女性も、観たくなると思う。
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10月30日(水曜日)午後1時から5時まで。
その後懇親会5時30分から7時30分くらいまで。
定員は25名です。
参加費15,000円(懇親会費含む)
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藤村 正宏
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