アート思考 ビジネスとアート思考:【第14話】気の遠くなるような無数の点で、奇跡の光を描いたスーラ
パリのオルセー美術館やシカゴ美術館で、ジョルジュ・スーラの絵画の前に立つと、誰もがその画面の異様な質感に釘付けになります。代表作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。縦2メートル、横3メートルを超える巨大なキャンバスに描かれているのは、セーヌ川のほとりで思い思いの日曜日を過ごす人々です。木陰でくつろぐ貴婦人、パイプをくわえる男、水浴びをする子ども、芝生を走る犬。全体にはどこか静けさと、永遠に時が止まったような不思議な調和が漂っています。ところが、その絵にグッと顔を近づけてみると――。輪郭線はどこにもありません。なめらかな筆の跡すら見当たらない。あるのは、気の遠くなるような数、何百万、何千万粒という「無数の純粋な色の点」だけです。