アート思考 ビジネスとアート思考:【第9話】キャンバスに何もない? マレーヴィチが描いた「黒い四角」
若い頃、僕は百貨店やショップのディスプレイなどを手がけるデザイナーの仕事をしていました。どこの美術館だったのか記憶が少し定かではないのですが、たしか西武百貨店の美術館(セゾン美術館)だったと思う。そこで出逢ったある作品に、僕は強烈に目を奪われました。白い空間に浮かぶ、黒い正方形と、少し傾いた赤い正方形。ロシア・アヴァンギャルドを牽引した画家、カジミール・マレーヴィチの作品でした。そのときの僕は、「高尚なアート」や「深遠な芸術」としてそれを受け止めたわけではありません。デザイナーとしての直感で、ただひたすらに「うわ、なんだこれ、めちゃくちゃカッコいいデザインだな!」と痺れたのです。