音楽はある種の人を遠ざける効果もある

音楽っていうのはすごい力がある

昨日、Twitterで「藤村正宏」をエゴサーチしていたら、こういうツイートがありました。

 

 

この話おもしろかったな〜って、あらためて思った。
自分で書いているんだけど、忘れていることがたくさんあります。

概ねこんな内容です。

不良少年を追い払ったショパンの調べ

店舗や売り場の音環境もしっかり考えることが大事です。
音というのは、実はすごいパワーを持っている。

BGMを、何も考えずに流している空間があります。
飲食店、物販店、ホテルのロビーなどなど。
そのたびに、もったいないな、って思うんです。

音にはすごいパワーがあるのです。
「体験」を売るという視点を持つ店舗では、BGMに注意深く気を遣っています。

こんな話があります。
米国の典型的な郊外に存在する、とある24時間営業のスーパーマーケットの話です。
オーナーの悩みは、敷地内の駐車場が夜ともなると不良少年たちの溜まり場と化してしまうことでした。

「このままではお客さまに来てもらえなくなってしまう。何とか奴らを追い払わなくては……」

そこである夜、オーナーは店内のスピーカーを外へ向け、ある音楽を流してみました。
効果てきめん!
彼らはその夜からピタリと寄りつかなくなったのです。
さて、オーナーはどんな音楽を流したのでしょう?
実は、モーツァルトやショパンのクラシック音楽を朗々と流したのです。
少年たちにとっておよそクールとは思えないような音楽ばかり。
不良少年たちがこよなく愛するすすけた匂いのする深夜の駐車場に、天真爛漫なロマン派のクラシック音楽は相当ミスマッチなBGMだったというわけです。

意図してつくられた音環境は、ある種の人を遠のけることすらできるパワーを秘めているという一例です。

音環境にも気を遣ってみよう

実際、BGMに無関心なお店が多いのは残念なことです。
その無関心さが、お客さまを逃していることも多々あります。

あるイタリアンレストランに行ったときのことです。
そのレストランはインテリアの雰囲気がよく、料理の味もサービスも合格点でした。
普通だったらかなりいい印象が残るはずなのですが、何かちがう。
なぜか落ち着かないのです。

食後のエスプレッソを飲みながら、どうして落ち着かないのかを考えてみた。
食事の途中で気づいたんですが、それはBGM。
今流行っているJ-POPがBGMになっているのです。
たぶんそのお店の若いアルバイト従業員に、選曲を任せきっているのでしょうが、雰囲気にまったく合っていないのです。
もちろん、J-POPが悪いっていっているのではありません。
何も意図しないで音楽を流しているのが致命的だということです。

たぶんボクはそのお店に二度と行かないかもしれない。
料理の味もサービスもよくて、インテリアの雰囲気もいいのにね。

お客さまに来てもらうには、音環境もしっかりとしたコンセプトを持ち、BGMにも気を遣おうということです。
音も壁の仕上げや、照明と同じように環境のデザインとして考える必要があります。
昨今の商業施設では、音に関してもかなり気が配られていますが、依然として「適当な音楽が流れていれば店がよく見える」といった程度にしか考えていないショップやレストランも多くあります。
残念な話です。

音は響きや重さ、時間、方向といった要素で空間を満たし、密度を高め、人の記憶や心理のより深いレベルに働きかけるという特性を持っています。

数々の音楽をプロデュースしていて、我が国の環境音楽の第一人者でもある尾島由郎氏が言っていました。
尾島氏には、ボクがプロデュースしたり関わっている施設の音楽を、オリジナルで作ってもらっています。
岐阜県の淡水魚水族館のエントランスの音楽や、北海道の鶴雅グループのホテルの音環境など。
【尾島由郎氏のウェブ】

「音は、空間と緊密な相関関係を持つことで、商業施設に於ける情報の主役である視覚情報を越えるインパクトを軽々と生み出すこともできる」

これはどういうことかというと、たとえばある商業施設に「海」の雰囲気を出したいと思った場合、視覚でそれを訴えるとなると大変な労力が必要です。
ものすごく大きな映像装置を持ってきて海の映像を流すか、ヤシの木や砂など実際のモノをディスプレイして波打ち際を演出するか、ともかくものすごいコストがかかります。
しかし、音なら簡単にそれ以上の効果を出すことができるということです。
波の効果音を流すだけで、「海」の雰囲気を簡単につくれるわけです。
音の力をあなどってはいけません。

尾島氏の代表的なアルバム「カレス(愛撫)」

尾島氏の代表的なアルバム「カレス(愛撫)」

飲食店も物販店も、お店に合わない音楽を流すと、お客さまを遠ざけてしまうこともあることを覚えておきましょう。

自分が自宅にお客さまを招待する場合、 どんな音楽でもてなすか考えてみること。
音だって、もてなしなのです。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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