マーケティングの概念を変えよう 〜企業の情報よりも、友人・知人の情報のほうが関心ある。

マス・マーケティングは効果がなくなる

最近よく思うことがある。
それは、従来のマーケティングがもう死にかけている。
そいうこと。

不特定多数に大量に情報を流し、そのうちの数%が反応してくれた人にモノを売る、そういうマス・マーケティングが効果を発揮しなくなっているということ。

今までのマーケティングは、いかに新規の客を獲得するかにエネルギーをかけていた。
でも、それはいずれ費用対効果などで、行き詰まることになる。
顔の見えない、一般大衆を相手にする以外のマーケティングを見つけていくことが、企業にとっては大事なことになる。

そう思うんです。

もはや悪い商品なんてない時代

情報量が飛躍的に増えつづけ、しばらくはその流れは変わることはないとおもわれます。
一年間に世界中に流通する情報量は1ZB(ゼタバイト)時代に入り、情報量は日を追うごとに増え続けている。
(1ZBは、世界中にある砂浜の砂粒の数と同じ数)
これは生活者側からみると、情報の選択肢が劇的に増えたということ。
あなたの会社の情報が目に触れる機会は、加速度的に減っているということです。

おまけに、製品は行き着くところまで良くなっています。
今までは、いい商品、いいサービス、こだわりの逸品、など「モノ」の良さで、人々を惹きつけることができましたが、今の時代は、ほとんどすべての製品が良くなっている。
だいたい良くない(悪い)製品はあり得ない、時代。
たとえば、家電業界。
洗濯機とか冷蔵庫とか、特別に個性的な製品はありません。
もう質が高まり続け、日本の家電メーカーが作る製品は、すべて「いい製品」になっている。
どれを買っても、みんないい商品なのです。
そんな環境で、「うちの製品はこんなにすごいよ」「ここがほかとちがうよ」などと、声高に叫んでも、そんなのうざいだけなのです。
さらに人々は、売り込みの販促に「どうせ企業が言うことだからね」と、話半分に聞いている。

だから、不特定多数に大量の情報を届けても、伝わらない時代になっていくということ。

企業の情報は見ないけど友人の情報は見る

ボクのFacebookの投稿 たいした情報じゃないのにね

ボクのFacebookの投稿 たいした情報じゃないのにね

検索エンジンの精度が高まり、ボクたちは知りたい情報をカンタンに手にいれることができるようになりました。
毎日自動的にスマホやパソコンに送られてくるニュースは、もはや新聞さえ必要なくなる勢いです。
インターネット上の百科事典「ウィキペディア」は、日々情報が更新され、より詳しく、より正確になっています。
さらに、何千万人という人々が、毎日web上にコンテンツをアップロードしています。
あなたの友人や知人も、毎日のようにFacebookやTwitterで情報をアップしています。
企業が出す情報よりも、友人・知人の情報のほうがめちゃくちゃ多くなっている。

企業が出す情報は、うざくて見たくないけど、友人や知人の情報はたくさん入ってくるし、知り合いだから、見るのです。
だから、世の中的にはすごい重大な「中東問題」とか「シリアの難民問題」とか「VWの排ガス規制逃れソフト問題」よりも、友達が昼ごはんに何を食べたとか、北海道に出張しているとか、新しい車を買い替えた、とかのほうが、関心があるのです。

昨日のボクのFacebookの投稿。

「秋刀魚、旬ですっ!
この時期になると、毎日でも食べたくなる。秋刀魚の塩焼き。定食にしてもらいました。
子供の頃から食べ慣れているから、かなりきれいに食べられます。
食べられないという人もいますが、ボクは腹の部分の苦いところが好きです。
あーシアワセ!美味いなあ〜〜。」

まだ24時間たっていませんが、1,000以上の「いいね!」がついて、25件のコメント。
ボクが秋刀魚を上手に食べれるなんて、世の中的には「どーでもいい情報」です。
でも、ボクの知り合いには、関心があるってことでしょ。

これはもうボクがメディアになっているってこと。
言い換えると、友人・知人が最強にメディアになっているってことです。

企業のマーケティングを考える上で、これはとっても大事な概念になる。

これからお客さまになるかもしれない人たち。
もうすでにお客さまになっている人たち。
ファンの人たち。
そういう人たちと、「友人・知人」になってしまう。
または、そういう人たちの間で、あなたの会社や店が、どのように語られていくか。
それに注意を払うことが、これから企業が繁栄していくキーポイントになっていくのです。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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