Facebookだけでしか買えない服
多くのアパレルメーカーが苦戦をしているニュースが、さまざまなメディアに取り上げられている。
大手のアパレルが500店舗以上を閉鎖するとか、30以上のブランドを廃止するとか、リストラするとか、本社ビルを売るとか、「しまむらとユニクロはなくなったら困るけど、別に「XXXX」は、なくなっても困らないから」とか言われたりとか、アパレルはさんざんな業界です。
価格が安くて、デザインもいい洋服がたくさんあるから競争が激しくなり、ファストファッションの店にお客さまが移行して売れなくなっています。
そんな中、一切の値引きもせず、Facebookとブログで売れているアパレルブランド。
株式会社ピーアイ。
代表取締役社長の奥ノ谷圭祐さん(短パン社長)。
通常はレデース衣料を、百貨店や専門店に卸しています。
でも、ある時に短パン社長が遊びで(遊びというか、おもしろがって)、Facebookでジャージ素材のショートパンツを売ります、って発信をしました、そうしたら12,000円短パンがたった20時間で売り切れた。約160枚。
その後、カーティガン(16,000円)やパーカー(16,000円)、ボタンダウンシャツ(17,000円)など次々とFacebookで発表して、すべて完売しました。
そんなことをおもしろがってやっているうちに、SNSだけで発売し、発注を受けてから作るブランド「Keisuke Okunoya」ができあがった。
世界初のSNSファッションブランド。
1枚7,500円のシンプルなTシャツは800枚近く売れた。
この冬向けのダウンベスト(23,000円)は4日間で300枚完売。
最初は社長がおもしろがってやっていたことが、すごい効果が出てきた。
なんと、1年間で5,000万円を超える売上です。
販売はソーシャルメディアのみ。
社長のブログで紹介して、FacebookとTwitter、Instagramでそのブログを拡散します。
ということは、お客さまは社長の知り合いや、関係のある人たちです。
もちろんFacebookのつながりやブログからのつながりで、見ず知らずの人も買っています。
といっても、Facebookやブログのフォロワーなので、短パン社長のことを知っている人たちです。
高額な費用のかかるECサイトも作らず、広告も、キャンペーンも一切しないで、ただブログに書いただけです。
正規の価格でたくさん売れるのです。
営業経費は限りなくゼロに近い。
今までのマス・マーケティングのやり方とは、まったくちがう発想です。
実に新しいマーケティングの概念です。
「関係性ブランド」と言えるかもしれない。
コミュニケーションをしよう
関係性ブランド、「Keisuke Okunoya」の成功は、コミュニケーションが要因です。
短パン社長が日頃からブログで発信して、FacebookやTwitterで読者とコミュニケーションしているからです。
さらに、買ってくれたお客さまにニュースレターやお手紙も書いている。
まさに社長本人が、個性を出しお客さまと交流しているわけです。
これからは「コミュニケーション」がキーワードになります。
あなたの想定しているお客さまに、有益な情報を提供して、さらに交流する。
そして、その交流に、お客さまの親しい関係にある人々も巻き込むという考え方です。
人々は誰しもいくつかのコミュニティに所属しています。
家族、友人、仕事仲間、地域社会、学生時代の友人、趣味やボランティアの団体、などなど。
コミュニティに所属していない人はほとんどいないわけです。
そして、誰しもそのコミュニティでは影響力があるということ。
人は誰しも、誰かとつながっているのです。
そのつながりにアプローチして受け入れられると、マス広告よりも効果を発揮するわけです。
マーケティングの考え方を根本から変えなければ、企業も組織も個人も、これからの時代に順応できなくなる。
そういう時代なのです。
藤村 正宏
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