消費者を買う気にさせるPOPとは?
先日、ある会社に打ち合わせに行きました。
約束の時間より30分くらい早く着いたので、そのビルの地下1階に入っている書店で時間をつぶしていました。
マーケティング書が並んでいるコーナーを見ているとき、ボクの目をとらえたモノがありました。
それは、平積みされている本についている、名刺と同じくらいの大きさのカード。
よく書店の平積み書籍に、プラカードのように飛び出ているアレです。
カード自体はめずらしいモノではないのですが、書かれていた内容が秀逸だったのです。
「これを読んでボクは、朝までドキドキして眠れなかった」
こう書いてあったのです。
それも手書きで。
うまい!
その本はマーケティングの本だったのですが、思わずボクは手に取り、レジに向かっていました。
売場で欲しい商品に気づいてしまったということです。
ボクのこの行動を分析すると……、
別に欲しいと思っている本などなく、探している本もなく、なんとなく書店の売場をうろうろしていた(ニーズなどなかった)。
ふと1冊の本の上に立っている名刺大のカードに目がとまり(注意を喚起された)、そこに書かれていたことに興味を持ち、手に取ってみた(ニーズらしきものが芽生える)。
そして、急に欲しくなりレジに持っていった(完全にニーズが起こった)、ということです。
商品に出会って初めてニーズが出てきたわけです。
こういうことは本だけでなく、実は頻繁に起こっています。
「消費者の86・5%が店頭で購買意志を決定する」
これはたとえば、スーパーに夕食の献立を決めてから行く人がほとんどいないということです。
何を買うか決めないでお店に行く。
言い替えればこれは、消費者の8割以上が、自分が何を欲しいかわからずにお店に入ってくるということです。
この本屋のときのボクのように。
それじゃそういう状態のお客さまに買ってもらうには、何が必要なのでしょうか?
そうです、本屋でボクが目にしたカード、
専門用語で「POP(Point of Purchase=購買時点)」といいますね。
お店に行くと「店長のオススメ!」とか「本日限り! 大特価!」とか書いてある、アレです。
POPはモノを買ってもらうためには重要なアイテムなのです。
POPは、重要な店頭での情報発信ツールです。
POPの書き方で、売上が大幅に変わることもあるのです。
POPを見て、お客さまが購買を決定することはめずらしくありません。
POPは、本来の目的ではないモノを欲しいと思わせることができます。
売れるPOPは体験を訴求すること
さて、このPOP、重要というわりに、みんな書き方がわかっていないのです。
ボクは仕事柄、いろいろなお店でPOPを観察しますが、全然ダメです。従来の「モノ」を売っている発想です。
先程の本屋さんのPOPを思い出してみてください。
「これを読んでボクは、朝までドキドキして眠れなかった」
ものすごく上手です。
これはまさに「体験」の視点から書かれたものです。
ミステリーや冒険小説についていたのではなく、マーケティングの本についているから、すごくいいわけです。
本の内容のことは一切書いていません。
その本を読んだときの体験をストレートに表現している。
思わずその体験に共感してしまい、「どんな本なんだろう?」と手に取ってしまいます。
従来のモノを売っている発想ではありません。
モノを売っている発想だと、たとえばこんなPOPをつけちゃうわけです。
「新進気鋭のマーケターが語る、まったく新しいマーケティング論!」
これじゃ売れないって話です。
ちがい、わかりますよね?
本当にうまかった。
だってボク、買ってしまったのですから。
これはもう、優秀な営業マンが店にいて、商品をすすめている状態。
しかも低コストで簡単にできる。
やってみる価値はあるでしょう。
藤村 正宏
最新記事 by 藤村 正宏 (全て見る)
- 【11/13(水) 募集中】あなたのSNS活用をアドバイスします リアル開催 エクスマトークセッション SNSの現在地と「超・個人の時代」のSNSビジネス活用 - 2024年10月29日
- 仕事を遊びの領域まで昇華できるか?|劇団藤村組の公演が終わりました - 2024年10月20日
- 美味しい料理を提供していたらそれで話題になりクチコミが生まれることなんてない - 2024年10月9日