本質以外のところでこだわるのはやめよう – 東芝と新国立競技場

「こだわり」の本来の意味を知った

「こだわる」という言葉はマイナス評価の言葉であって、プラス評価に使うのは、間違いだということを最近知った。
読売新聞の「編集手帳」というコラムを書いている、竹内政明さんという方が言っていた。
たくさんある新聞一面のコラムで、「編集手帳」が一番名文だなって、常日頃思っていたので、興味深く読んだ。

[こだわる]
つまらないことに心がとらわれて、そのことに必要以上に気をつかう。
拘泥する。

本当はこういう意味だったのです。
それがいつしか乱れて、細かなことまで気をつかって味覚などの価値を追求すること」なども、「こだわる」という言葉を使うようになった。
でも、これは本来とはまったく意味がちがう正反対の使い方。
知らなかった。
こだわりって、プラス評価されているのに、なんとなく違和感を感じていたので、なんとなくホッとした気分でした。
でも、今は一般的にいい意味で使われていることが多い。
それはそれで、別に否定はしません。
言葉も時代によって変わるので、あまり気にしなければいいことですね。
意味が通じるんだから。

「上意下達」ってどう読む?

それと同じように、思い込みで使っている言葉もある。
たとえば「上意下達」。
これは、「じょういかたつ」と読みます。
よく「じょういげだつ」という言い方を耳にすることがありますが、それは間違いらしい。
日本語って難しいです。

ちなみに「上意下達」の意味は、ワンマンだっていうこと。
上のモノの意図が下まで達するっていう意味。
「じょういげだつ」「じょういげたつ」じゃなく「じょういかたつ」だったんだ〜。

上意下達って、組織にとって、悪いことかもしれないなって思う。
上の偉い人の意見を、何の疑いも持たずに、そのまま実行する。
偉い人が決めたんだから、それの期待に沿うように行動する。
方向性が間違っているとわかっているのに、意見が言えない。
そんな組織は、今の時代、かなり危ないことなんじゃないかな。

東芝の粉飾決算事件も「上意下達」が原因

東芝が過去の決算で不適切な処理をしていた問題。
当時社長だった佐々木副会長が、予定通りの利益を上げられない部署に、圧力をかけていたことが発覚しましたね。
会議の場やメールで、かなり強い口調で「工夫しろ」と指示していたらしい。
指示は、月に1回担当者が事業の状況を報告する「月例報告」という会議と、それに関連するメール。
この発言が利益の水増しや損失隠しなどの「粉飾決算」を引き起こした原因だということは、考えられることですよね。
事情を聞かれた社員さんたちは、佐々木社長の発言を「会計を操作しろ」という趣旨だと受け止めたと白状しているんですから。
粉飾決算をした企業は、最悪の場合、株式市場からの退場すらあります。

これは「上意下達」が悪く作用した事例ですね。
自分たちの保身のために、架空の利益を計上したり、利益の水増しをしたり、社長の指示通りにならなかったら、地位が危なくなる。
偉い人のいう通りしないと、出世できないですからね。

不正は六つに分けた社内部門のすべてで見つかっています。
東芝が自主的な調査で約550億円としていた営業利益の水増し額は、なんと、弁護士らでつくる第三者委員会の調べで1500億円超に拡大した。

新国立競技場の建設費が2,520億円の問題も?

ザハ・ハディッドさんの作品 香港の大学のジョッキークラブ

ザハ・ハディッドさんの作品
香港の大学のジョッキークラブ

新しい国立競技場の建設費が高すぎるっていうのが、世間を賑わせています。
世界的な女性建築家のザハ・ハディッドさんがデザインした、宇宙や有機物をイメージさせる建築物です。
美しいけど、作るのがめっちゃ難しそう。
だから、普通よりかなり建築費がかかるんだな。

でもね、これも「上意下達」が原因のような気がしてきた。
コンペの審査員さんたちの偉い先生が、最初に決めたから、その通りにしなければならない。
変更は許されない。
そんなことね。

ワールドカップの時に新築された、埼玉スタジアムの建設費は、約300億円。
あの立派なスタジアムが8個以上作れちゃう予算です。
すごいですよね。
それを建てられるだけの資金があるのなら、まったく問題ないですけどね。

でも、建物にお金をかけて、中身がチープってことがよくあるから、それが心配。
スタジアムの最大の目的は、建築物の外観ではなく、そこを使うアスリートと観客がより使いやすく、より楽しめるってことですから。

「上意下達」って、失敗の原因になる場合があるから心配です。
くだらないプライドや、本来の目的以外に「こだわる」と、禍根を残すことになるのは、今までの歴史が証明しているのだから。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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