ジャズ喫茶の思い出
品川での昼間の仕事が終わって、夜に打ち合わせがあるので新橋に来ました。
ちょっと早く着いたので、ブログを書いています。
とっても古い喫茶店です。
この界隈だけ、40年くらい前から時間が止まってしまったような店。
こういう昭和を感じさせる、ノスタルジックな喫茶店が街から消えて、みんな清潔で安全なイメージのカフェになっている。
ちょっと残念です。
中学生や高校生の頃、喫茶店ってなんとなく、ダークな感じだった。
暗い店内、珈琲と煙草の匂い。
そして大人の男女。
なんとなく淫靡なイメージがあった。
そのちょっと陰のイメージが好きで、ジャズ喫茶に通うことになる。
高校生のころ、日曜日になると、昼間から夜にかけてジャス喫茶『ジスイズ』に入り浸っていた。
何の目的もなく、ただただ、ひとりでジャズを聞きながらコーヒーをのみ、煙草を吸って小説を読んだ。
フランス文学やアメリカ文学。
セリーヌの「夜の果ての旅」。
カフカの「異邦人」。
フローベールの「感情教育」。
フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」。
ヘミングウェイの「日はまた昇る」。
たくさんの古いJAZZのレコードを聴き、たくさんの小説を読んだ。
時々、同じ学校の友人がやってきては、文学論やアートの話しをした。
ちがう学校の女の子が遊びにきたりもした。
いつもボクがそこにいるのを、友人たちは知っていた。
バド・パウエル、マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、ソニー・クラーク、ビル・エバンス、スタン・ゲッツ、・・・
浴びるほどジャズのインプロビゼーション(即興演奏)を聞き、アーティストのスピリッツに触れた。
演奏がすべて良かったわけではなく、好きなものと嫌いなものもあった。
あるものは心を刺すような興奮を、あるものはせつなくなるほどの美しさを、あるものは退屈と不条理を。
乾いた白いスポンジが水を吸い取るように、ジャズを聞き続けた。
表現って、なんだろう。
どうして人は表現するのだろう。
表現する欲求っていうのは、どこからくるのだろう。
そんなことをいやおうなく考えるようになった。
ボクはマーケティングやら経済学を勉強したことがなく、マーケティングコンサルタントをやっている。
それがある意味、他とはちがう個性になっている。
高校生の頃のジャズ喫茶の経験は、それに大きく影響を与えているんだと思う。
文学や映画、美術や音楽。
そんな文化的な要素をマーケティングに取り入れて考えるクセがある。
それはいいことだと思う。
だってこれからの企業は、文化的なことが他とはちがうということに大きく貢献すると思っているから。
インプロビゼーションをしながらのインタープレイ的経営
インタープレイというのは、すべての演奏者が表現者として等価の比重をもって演奏し、それを高めあって作品を仕上げていくというもの。
まさにアドリブの演奏で会話をしていくようなイメージ。
ボクはよく、即興演奏のような経営が望ましいって言っている。
今の時代は、大きなビジョンや目標を掲げ、そこに向かって臨機応変な経営をしていく。
環境や条件が激変する現代、5年先を予測することは不可能だから。
まさにジャズの「インプロビゼーション」のような経営。
そのためには、各々のメンバーが、それぞれの強みを発揮し「インタープレイ」をするような組織にならなければ、良い作品はできない。
ジャズのライブのような。
5年後や3年後はSFのような世界になっている。
そんな時には「インプロビゼーション経営」が合っているんだと思う。
新橋のノスタルジックな喫茶店で思ったことは、概ねそんなことだ。
やっぱりジャズはいいな。
藤村 正宏
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