アンケートの作り方 お客さまの「共感」を獲得することが大切

売れる言葉は「共感」

これだけ情報があふれて、お客さまの選択肢が飛躍的に増えているSNS時代、お客さまとあなたの間に「共感」が生まれなければ、選んでもらえなくなります。
あなたの商品やサービス、会社や店と共感を作り出すことが大切。

「売れる!コトバ」というセミナーをやりました。

時代とともに、言葉は変わっていきます。
昔は効果があったキャッチコピーも、時代とともに効果がなくなる。
それどころか、知らずに使っていると、怪しまれたり、信頼をなくすことだってあるのです。

言葉は目に見えないけど、確実に存在する。
そして相手の心に届きます。
ひとことで優しい気持ちになったり、勇気を与えたり、あるいは傷つけたり、悲しませたり。
言葉は言葉を呼び、翼を持って、世界に羽ばたく。
だから、社会を変える力もあるのです。

ビジネスでも言葉は大切です。
あなたの商品やサービスの価値を伝えるのは言葉だから。
売れる言葉を知っている企業と、知らない企業では、大きく差が出てしまいます。

売れる言葉は

伝えたい相手(ターゲット)に呼びかける
お客様の声を使う
共感をつくり出す

そんなことを意識してみると伝わりやすくなります。
「共感」されることです。

アンケートの作り方を工夫して共感してもらう

お客さまとの間に「共感」を作り出すために、あなたの会社や店をほめてくれるお客さまの「いい声」をたくさん獲得することです。

それには、アンケート用紙の作り方を根本的に変えてみる。
お客さまの声をキャッチコピーとして使うというのは、本当に効果があります。
お客さまの声を「   」で囲んでホームページやチラシに使うと、とっても反応がいい。
なぜかというと、お客様の声という時点で、エピソードになっているから。
エピソードは、とても伝わりやすい。
もう一つは、お客様の声は第三者の声。
客観的な事実だからです。

でも、気をつけなければいけないのは、お客さまの声のとり方です。
アンケート用紙の作り方。

「お客さまのご意見をお聞かせください」
「お客さまの声をお聞かせください」
「お気づきの点がありましたら、何なりとおっしゃってください」
「お叱りのコトバを伺わせてください」

そういうふうにアンケートで問いかけているものが多い。

でもね、こういう聞き方をしたら、正しいお客さまの声はわからないということです。
あなたのアンケート用紙を見直してください。
これだと生きた声、本当の声は返ってきません。
こういう聞き方をすると、だいたいクレームが返ってきます。
クレームが増えます。

「ご意見」「お客さまの声」「お気づきの点」などの言葉がアンケート用紙のタイトルに入っていると、無意識のうちにお客さまは「あ、きっとクレームを聞きたいんだな」って思うのです。
だからたいしたクレームにもならないようなことをわざわざ書いたりするのです。
ましてや「お叱りの言葉」なんて書いたら、100%、クレームしか書いてくれません(当たり前だけど)。

実際にいろいろなところで実験しました。

幸せメッセージは反応がいい

ボクのクライアントの事例です。
この子ども写真館のアンケートは、以前は普通のアンケートでした。

◆スタッフの接客・対応はいかがでしたか
◆カメラマンの撮影・対応はいかがでしたか
◆着付け・ヘアメイクはご満足いただけましたか
◆料金についてはいかがでしたか
◆次回もまたご利用いただけますか

などなど、10項目くらい質問があって、

「とても満足 満足 普通 不満 とても不満」

といった5段階に分けて、どれか選んでもらう形のもの。

こういうものでは、正しい声は集められません。
だいたい書くのが面倒くさいし、何かもらえるアンケートの場合は、だいたい真ん中から少しいいほうに、ざーっと○をつけていくでしょう?
あまり意味がないと思った。
そういうふうに、社長に言うと、すぐに変えてくれました。
聞き方を、こういうふうに変えたんです。

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お客さまの幸せが私たちの幸せ!
それが私たちの合い言葉です

本日はスタジオ●●●をご利用いただきありがとうございます。
ご来店いただいたお客さまに、とっても感謝しています。
私たちスタッフは写真を撮りながらいつも感じています。
撮影に来店されるお客さまは皆さん幸せいっぱいなんだなって。
カメラのレンズ越しに見るお客さまの笑顔から伝わってくるのです。

そこでお願いがあります。
今日●●●で感じた「幸せ」を教えていただきたいのです。
お客さまの幸せが私たちの活力になります。
ぜひ「幸せメッセージ」をお願いします!
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アンケートのタイトルをを「幸せメッセージ」にしたんですね。
どうしてかというと、子ども写真館に来る人たちは、例えば七五三や、お誕生日、入園、入学の記念に写真を撮りに来るわけです。
共通しているのは、すごく幸せなときだ、ということです。
幸せなときだから、写真撮影のとき、絶対に幸せを感じているはずです。
そのときの「幸せメッセージ」をくださいと言ったら、いい答えが返ってくるに決まっています。
そして「お客さまの幸せが私たちの活力になります」のひと言。
これが効くのです。
人間は、基本的にいい人です。
誰かのために、何かをしてあげたい、そう思っています。
自分が自分の幸せなことを書くことで、お店の人の活力になるのなら、書こうと思ってくれる、素直な人がたくさんいる。
とっても素敵なメッセージがたくさん届きます。

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本日、3才のB.D写真撮影(^_^)
1つ1つのポーズのとり方や仕草から、子供の成長を感じとれ、
すごく幸せな気分になりました!
本人も緊張しつつも、スタッフの方々のおかげで、
とても良い笑顔を写真におさめて頂きありがとうございました。
次は七五三が待ってます(ハート)
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1歳のたん生日記念に初めてスタジオ●●●を利用しました。
はじめ緊張して表情がかたいものの時間をかけてとってもらったら
笑顔以外のかわいいポーズもちゃんととれてて大満足
仕上りイメージを何度も見ては出来上がりを楽しみにしてます。
着せたい男の子の洋服もたくさんあって楽しかったです。
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9ヶ月の息子のとびきりかわいい笑顔が撮れました。
桃太郎の衣装も似合って、写真を見るたびに目尻が下がってしまいます。
赤ちゃん写真展に飾っていただきました。
きっと皆が思うのでしょうが・・・
我が子が一番かわいかったです!
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こんな感じのメッセージが戻ってくるようになりました。

回収率も上がりスタッフのモチベーションも上がる

そして、回収率がすごく高くなりました。
確か8〜10倍くらいになったそうです。
たくさん書いてくれるようになった。

それまでは、クレームを書いてくるものは来たけれど、褒める内容はあまりなかった。
お客さまは、普通わざわざ褒めることはしない傾向があります。
いいことは言わないことが多い。
でも、聞けば褒めてくれます。
だって基本的に、みんな満足しているんです。

アンケートで「お客さまの声をお聞かせください」と言うと、いいと思っているときは基本的に書きません。
でも、イヤなことがあったとき、あるいはここの会社はクレームを聞きたがっているんだな、と思ったときには書く。

ほめられると、誰でもうれしいですよね。
店長さんやスタッフ、みんなアンケートを楽しみにするようになりました。
結果、モチベーションもあがるのです。

お客さまの「いい声」もたくさんもらえて、尚且つ、スタッフのモチベーションも上がる。
これって、すごくいいことだと思いませんか?

クレームを聞かないと問題解決しないという幻想

お客さまの「いい声」を獲得するアンケート用紙の作り方、少しは伝わっていますでしょうか。
この話を以前、旅行会社が主催するホテル旅館の経営者を集めた講演会でお話ししたことがありました。
そこでこういう質問がありました。
「クレームを聞かないと、問題解決しないじゃないですか?」
大丈夫なんです。

クレームというのはほとんどが情報不足からくる誤解によって生じます。
「当店では配達をしていません、悪しからず」とあらかじめ言っておけば「配達してくれなかった」というクレームはなくなる。
「露天風呂ですから葉っぱや虫が入っていることもあります」と言っておけば「露天風呂に虫が浮いていた」というクレームがなくなる。
あらかじめ言っておくとクレームは減ります。
多くのクレームはこういうクレームです。

お客さまの「いい声」を獲得するアンケート用紙にしても、本当に解決しなければならないクレームは届くのです。
余計なクレームがなくなるというだけ。
そして、あなたの会社や店、商品やサービスの長所、強み、そういうところを伸ばすという考え方です。
それが伸びたら、欠点なんて取るに足りないコトになっていきます。

だから、お客さまのいい言葉をいただけるような、そういうアンケート用紙にすることなんです。

「お客様の喜びの声をお聞かせください」
「熱いメッセージをお願いします」
「しあわせメッセージをお聞かせください」

などなど、どういう声が欲しいかを書く。
そうすると、お客さまは書いた通りに反応してくれます。
クレームよりも、喜びの声のほうを聞きたいでしょ。
お客さまの「いい言葉」は、あなたと「共感」しているってことですから。

アンケート用紙の作り方を、今一度考えてみましょう。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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