女性マーケティングの時代 ~女性客に支持されるための5つのポイント

2005年出版の本

2005年に出版した本が出てきてまた読んでみた。

『なぜ彼女はこの店で買ってしまうのか』
  〜女に愛されて儲ける5つの法則<PHP出版>

 テーマは「女性マーケティング」。
色々なテーマで本を書いていたんだなって、実感。
かれこれ、海外も含めると30冊以上出版している。

このタイトルはボクがつけたのではなく、出版社のタイトル会議で決まったものです。
当時、こんなタイトルの本がたくさんあったんだな。
まだタイトルに意見を言えなかった頃です。
(今でもあまり希望は言わないけどね)

でもね、なかなか面白いこと書いてある。
この本も復活して電子書籍で出版しようかな。

その一冊を要約してブログに書いてみました。
<以前書いてあったブログ記事のリライトも含みます>

女性マーケティングの時代

これから、企業は女性思考に合わせた、商品開発、販促、店づくり、マーケティングが必要です。
だって、消費の80%は女性がコントロールしていると言われています。
家も車も、購買決定権は女性が握っている。女性は持ち物が多い。
ということは、購買機会も多いということ。
女性に支持されなかったら、これからの時代はやっていけないということです。

今までのマーケティングの行き詰まりは男性的思考の行き詰まりと同じです。
今までのマーケティングは、ロジックに訴え過ぎていた。
そうではなくて、もっと感情に訴えなければいけないのです。

感情に訴えましょう。

消費の80%は女性がコントロールしている。
家も車も、購買決定権は女性が握っている。
女性は持ち物が多い。ということは、購買機会も多い。
こう考えると、女性に支持されなかったら、これからの時代はやっていけないということ。
そして、女性に受け入れてもらうには、女性思考と男性思考のちがいを知ることが大切です。
女性に支持されるためのポイントです。

男性は「論理」的、女性は「直感」的。
男性は「攻撃」的、女性は「防御」的。
男性は「結果」、女性は「過程」。
男性は「明確」、女性は「曖昧」。
男性は「中心」、女性は「周辺」。

男性は「論理」 女性は「直感」

男のほうがロジックが好きです。
数字を出すと説得力を感じる。
「こういうふうに変えてみたら、売上が12倍になりました」
「金額でいうと何億何千万のプラスになりました」と言うと

男性はすごく納得するんです。
女性は、数字を言わなくても
「これをやったら、こんなにスゴクなったんだよ」と言えば納得してくれます。

直感的にスゴイな、楽しいな、という感じ方をするのが女性で、男性はロジックが好きです。
だから、販促物にしても直感的にわかりやすいかどうか、ということが女性には重要なポイントです。
女性に人気になりたかったら、直観的にわかりやすくなければならない、

スーパーの売場の展示は男性脳的に考えると食品売場とか、○○売場というふうに棚割をしてしまいます。
ウィンナー売場があってマスタードや調味料は、ウィンナー売場から離れた別の売場に売っています。
男性脳的にはそれで正しいんです。
でも、ほとんどの消費者は女性です。
ウィンナー売場の冷ケースのところに棚をつくって、マスタードを置きました。
そうしたら、ウィンナーの売り上げが24%アップしました。
男はすぐに分けたがるけれど買い物というのはそうじゃない。
最近のスーパーはそうなってきつつあります。
お豆腐の横に生姜を置いてあったり、パスタの横にバジルがあったり。
関連展示をすると、直感的にわかりやすくなるということです。
直観的かどうか。それが大切になってきます。

男性は「攻撃」 女性は「防御」

女性は、「攻撃的」なマーケティングを嫌います。
だから、「試食」、「試着」、「お試し」は重要です。

たとえばブティックなどでは試着をしやすくしてあげるとか、試着室を広く、居心地がいいようにすると売上も増える傾向があります。
レストランなんかだと、調理しているのが見えるオープンキッチンなどは女性には人気です。
女性のお客さまには「安心感」を与えることが大切なのです。

営業や接客販売も、いきなり売り込まないほうが効果的な場合が多い。
攻撃的に売り込まれることを嫌うのです。
だから、ランキング手法などは、女性客向けと言えるんですね。
ボクのお客さまの観光ホテル北海道の鶴雅の売店で実施した「今月の売上ベストテン」はうまくいきました。
ランキング手法には、リスクを軽減する効果があるんですね。
買い物はリスクがあります。
無駄なお金を使ったらどうしよう。良くない品だったらどうしよう。美味しくなかったらどうしよう。
その心理的リスクを回避させる効果がある。
「多くの人が買っているんだな」
「ほかの人も買っているからいい商品に違いない」
そう感じてもらえるわけです。
売れているものがより売れるようになったり、滞留時間が伸びたりして、結果売上につながるのです。

美容室、エステ、写真館、歯科医院、リフォーム相談会などの相談系、英会話教室やパソコン教室などの学習系などなど、長い時間接客する業態は、チラシやホームページに店長やスタッフの顔が出ていないと反応が落ちます。

どんな人がやってくれるのかがわからないと不安ですから。
安心感のある笑顔の写真を使いましょう。

女性のお客さまには「安心感」を与えることです。

男性は「結果」 女性は「過程」

男性は結果ばかり求めるけれど、女性はプロセスをすごく大切にする。
買い物に行くと、男はすぐに目的の売場に行きます。
でも、女性はいろいろな売場に寄って、買いもしない服を試着しながら、最後に目的の売場に行くなどして、ショッピングの過程を楽しむんですね。
ボクは、日帰り温泉をつくりましたが男にとっての脱衣場というのは、風呂に入る前に服を脱ぎ、あがってきたら、服を着るだけの場所ですよね。
服を脱いで、着て、それで終わり。
女性にとって脱衣場は重要な空間です。
いろいろなコミュニケーションの場にもなります。
でも、建築をする人は機能しか考えない。
だから、ダメな脱衣場が多いんです。
使う女性にとって本当にどんな脱衣場がいいか、ということを考えてつくらなければいけないのです。

トイレも、男性とはちがう目的で使われます。
この画像を見てください。
北海道阿寒湖温泉ホテル「鶴雅」の女性トイレです。

ホテルの豪華な女性用トイレ

ホテルの豪華な女性用トイレ

入り口を入ると、ギャラリーになっている。
トイレにソファが置いてあって豪華できれいです。
トイレなのに、そこでご飯を食べられそうです。
トイレをまったくちがう「意味合い」にしているのです。

男性は「明確」 女性は「曖昧」

女性は明確なものより曖昧なものを好む傾向にあります。

・明確なルールより、曖昧なサービス。
・活字より手書き文字。
・手作り感覚。

女性は、キチキチっとしているよりも曖昧なほうが好きだったりします。
イタリアンレストランに行くと、黒板にメニューが書いてあるでしょう?
きっちり書かれたメニューよりも、黒板に書いた手書きのメニューのほうが美味しそうに見えますよね。

北海道のある居酒屋の店内黒板。

 いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ
 おすすめ品
 本日入荷しました
 清里森本農場のびっくりアスパラ
 ・アスパラサラダ
 ・アスパラ焼
 ・アスパラの天ぷら
 ・アスパラバター
 ・アスパラ豚肉巻

「森本農場」というところが上手です。
農場の名前を入れてあると、美味しそうに見えますよね。
おまけに「本日入荷しました」と書いてある。上手です。

 厚岸産 竹中さんのおいしいかきです
 焼がき  酢がき  生がき

厚岸というのは、かきの有名な産地です。
その中でも「竹中さん」が育てたかきですと書くと信頼性があがるのです。

北海道弟子屈町川湯温泉の居酒屋の黒板メニュー

北海道弟子屈町川湯温泉の居酒屋の黒板メニュー

黒板やボードに手書きされているということで、新鮮さや、その時だけの感じが伝わるわけです。
それに、手書きというのは、活字よりもあたたかいイメージになりやすい。
それを書いた人の人柄が伝わるからです。
黒板やチラシ、POPなんかも活字よりも「手書き」のほうが、反応がいい傾向にあります。

男性は「中心」女性は「周辺」ディテールに注意をはらおう

男性は物事の中心しか見ない。
女性は物事の周辺を見る。

男性は狩猟を担当していました。
遠くにいるターゲットを確実に仕留めるために、中心を見る能力が進化しました。
女性は集団で家を守りました。
周りのさまざまな情報に気を遣い広い範囲が見えるような脳の進化をしたということです。
女性は周辺視野が広く、男性は周辺視野が狭い。
女性は、細部から全体を把握する。
だから、ディテールが重要です。
ディテールというのは細かいところ、という意味です。

「神は細部に宿る」という言葉があります。
ディテール(細かいところ)にこだわる5大メリットがあります。

1 ディテールに凝ると、個性が出しやすい
2 ディテールまで気を遣っていると、こだわりが伝わる
3 ディテールまでこだわると、甘いところがみえてくる
4 ターゲット設定も「せまく」「細かく」することで商品や会社の価値がわかりやすくなる
5 特に女性は、細かいところに目がいく

細かいところをちゃんと演出することによって、価値が伝わりやすくなるのです。

これは、あるリゾートホテルのディスプレイです。
すごく美味しいバラのジャムとジュースを売るのにジャムを、ラッピングして可愛いらしく見せています。
細かいところに工夫してディスプレイに気を遣っています。
ただ単純に商品を並べているわけではありません。
演出して陳列すると商品がよく売れるようになりました。

そして黒板のサインがついています。

 バラジュース お土産1本525円
 バラジャム お土産1個1260円

バラジャムはサイズが小さいのに一個1260円します。
でも、飛ぶように売れていきます。

そして黒板にはスタッフからのこんなお勧めが書いてある。

 バラのエキスには女性にとっても嬉しい美肌効果があるんです!!
 実際に効果を感じてきているスタッフの声をお聞き下さい☆

体験記 西山美枝
 ・バラジュースを飲んでから、何だか化粧のノリが良くなったような…??
 いいえ、気のせいではありません!
 最近お客様やスタッフから、キレイになったねと……。
 皆様も私達と一緒にキレイになりませんか?

ターゲットを細かく設定して、明確にしましょう。
ターゲットとマーケットは違います。

細かいところをちゃんと演出することによって、価値が伝わりやすくなるのです。

「中心」より「周辺」。
細かなところに気をつかうのが、女性の心をつかまえるために、必要なことなのです。

男性脳と女性脳の違いを理解しよう

男性と女性とは考え方、感じ方が違うということです。
その違いは「脳」の違いなんだそうです。
男性脳と女性脳には違いを知って、女性に支持される会社やお店にならなければ、これからの時代、繁栄は難しいのです。

何万年もつづいた原始時代が、男と女の脳を形成してそれが今のボクらに受け継がれている。
男性は、他の男性と一緒に狩猟をするのが役目だった。
女性は、他の女性たちと一緒に家を守り、子供を守るのが役目だった。
そういう生活が何万年も続いたわけです。
そのときに男性脳と女性脳が形成されたそうです。

男性脳と女性脳には違いがあるんです。
男性脳は、特定の分野に突出した才能を産み出す。
女性脳は、右脳と左脳のバランスがとれている。

なぜ男性にパイロットが多いのか、建築家が多いのか。
車の縦列駐車は、男性のほうがなぜ得意なのか。
それは、右脳が発達しているからだそうです。
右脳というのは空間を把握する脳です。
音楽も感覚の脳を使いますから、プロの音楽家が多いのも男性です。
でも、女性のほうが圧倒的に音楽好きが多いんです。
なぜかというと、女性のほうが右脳と左脳の間のパイプが太いからだそうです。
だからバランスがとれている。
突出はしにくいけど、広い範囲を網羅しているんですね。

女性客に好かれて、繁盛する店、会社になってください。
女性に好かれて、成功しましょう。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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